政府は22日、東京電力福島第1原発にたまる処理水の海洋放出について、気象条件などに支障がなければ24日に開始することを決めた。放射性物質トリチウムを含む処理水放出に対し、中国は猛反発。漁業関係者らは風評被害を懸念している。岸田文雄首相は関係閣僚会議で、風評対策と放出作業に関して「たとえ今後数十年の長期にわたろうとも、処分が完了するまで政府として責任を持って取り組んでいく」と表明した。
 首相は放出決定の判断に当たり、「現時点で準備できる万全の安全確保、風評対策、なりわい継続支援策を講じることを確認した」と説明した。風評対策などには計800億円の基金を活用。東京電力ホールディングスも漁業者らに対し、売り上げの減少分などを補償する。放出決定後、西村康稔経済産業相は福島県を訪れ、内堀雅雄知事や同県漁業協同組合連合会の野崎哲会長らに改めて放出への理解を求めた。 
〔写真説明〕東京電力福島第1原発の処理水放出に関する関係閣僚会議で発言する岸田文雄首相(右)。中央は西村康稔経済産業相=22日午前、首相官邸
〔写真説明〕廃炉作業が進められている東京電力福島第1原発。敷地内には処理水を保管するタンクが並ぶ=2021年2月、福島県(時事通信チャーター機より)

(ニュース提供元:時事通信社)