北朝鮮は22日、「衛星ロケット」を24日午前0時から31日午前0時の間に打ち上げると日本の海上保安庁に通告した。岸田文雄首相は北朝鮮を非難し、関係省庁に厳戒態勢を取るよう指示した。南西諸島上空を通過する可能性があり、政府は落下物に備え、ミサイル防衛のための「破壊措置命令」を継続する。
 首相は22日、記者団に「弾道ミサイル技術を用いた発射は、関連する(国連)安全保障理事会決議違反だ」と非難。「情報収集と警戒監視に全力を挙げる」と強調した。
 海保は、黄海と東シナ海、フィリピン・ルソン島の東の海域に、部品などが落下する恐れがあるとして航行警報を発出した。北朝鮮は5月にも同じ海域を通告して「軍事偵察衛星」を打ち上げたが失敗。早期に再発射を行う方針を示していた。
 浜田靖一防衛相は5月、自衛隊に破壊措置命令を発令。迎撃ミサイル「SM3」搭載のイージス艦を日本周辺海域に展開し、地対空誘導弾パトリオット(PAC3)部隊を沖縄本島、宮古、石垣、与那国各島に配備した。防衛省はこの態勢を現在も維持しており、24日からの予告期間に向けて警戒監視を強める方針だ。
 外務省の鯰博行アジア大洋州局長は22日、米韓両国の北朝鮮担当高官と電話協議し、発射の中止を強く求めていく方針を申し合わせた。
 首相と米国のバイデン大統領、韓国の尹錫悦大統領は18日、米ワシントン近郊のキャンプデービッド山荘で会談し、「北朝鮮の完全な非核化」に向けた団結を確認。抑止力強化に向けた自衛隊と米韓両軍の共同訓練定例化や、弾道ミサイル情報を即時共有する仕組みの早期運用開始で一致した。 
〔写真説明〕北朝鮮の「衛星」発射通告について、取材に応じる岸田文雄首相=22日午前、首相官邸

(ニュース提供元:時事通信社)