北海道・知床半島沖で昨年4月、死者・行方不明者26人を出した観光船「KAZU I(カズワン)」の沈没事故で、運輸安全委員会は7日、最終調査報告書を公表した。報告書は、船首甲板部のハッチからの浸水を沈没の直接原因としつつ、運航会社「知床遊覧船」(斜里町)では安全運航のための人材が欠如し、船体や通信設備の保守整備も不十分だったなどと指摘。船舶運航の知識・経験がない桂田精一社長(60)は名目だけの責任者で、「安全管理体制が存在していない」とした。
 報告書は、桂田社長が運航管理者に選任された2021年以降、同社には「実質的な運航管理体制が存在していなかった」と断定した。運航管理者になるには3年以上の実務経験などの要件があるが、桂田社長は満たしておらず、船舶に関する知識や経験もなかった。 

(ニュース提供元:時事通信社)