アゼルバイジャンの係争地ナゴルノカラバフのアルメニア系勢力「アルツァフ共和国」は28日、来年1月1日までに解体すると宣言した。アゼルバイジャンによる今月19~20日の軍事作戦の結果、軍事部門の武装解除などを迫る停戦合意にアルメニア系勢力は応じていたが、今回、自ら政治部門の解体にも踏み込んだ格好だ。
 「アルツァフ共和国」は1988年に始まった紛争のさなか、91年に一方的にアゼルバイジャンから分離独立を主張。アルメニアは表向き承認していないが、実効支配の象徴としていた。解体で現状が崩れ、35年に及ぶ紛争が大きな岐路を迎えることになる。
 アルメニアのパシニャン首相は10月5日、アゼルバイジャンのアリエフ大統領とスペイン南部グラナダで会談する予定。紛争の最終解決に向け、和平交渉が本格化する可能性があるが、敗北したアルメニア側は不満が強く、避難民の問題も深刻化しそうだ。
 アルメニア政府によると、ナゴルノカラバフから「民族浄化」を恐れて本土に逃れるアルメニア系住民は28日、7万人を超え、現地の人口の半数以上に上った。パシニャン氏は「近くアルメニア系はいなくなる」という見通しを示した。
 一方、アゼルバイジャン当局は27日、大勢の避難民に交じってアルメニア本土に渡ろうとした元「共和国首相」のルベン・バルダニャン氏を首都バクーに連行し、28日に「テロ資金援助」の疑いで拘束。今後の交渉で優位に立つべく、圧力を強めている。 

(ニュース提供元:時事通信社)