日本や米国、ロシア、中国など21カ国・地域が参加するアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が15~17日に米サンフランシスコで開かれる。ロシアによるウクライナ侵攻で食料・エネルギー安全保障の課題が顕在化しており、国内総生産(GDP)の合計で世界全体の約6割を占める巨大経済圏が一致した姿勢を示せるかが焦点。開催に合わせて2国間の首脳外交も展開され、昨年11月以来、1年ぶりの米中首脳会談に注目が集まる。
 APEC首脳会議は、ウクライナ侵攻を巡る対立を乗り越え、地政学的リスクや中国経済の減速など世界経済の不安払拭に向けて結束を模索する。9月の20カ国・地域首脳会議(G20サミット)ではロシアを名指しで非難することを避け、全会一致で首脳宣言を採択したが、今年開かれたAPEC閣僚級会合では共同声明を一度も出せておらず、調整は難航しそうだ。
 米中両政府は先週、首脳会談の開催で原則合意した。実現すれば、半導体や重要鉱物の輸出規制で応酬を続ける米中が2国間問題を協議するほか、台湾問題など地域情勢についても議論する見通しだ。
 このほか、日米など14カ国が参加する新しい経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の閣僚級会合が13、14両日に開かれる。交渉の対象とする「貿易」など3分野の協定に関し、実質妥結に向けた協議を加速させる。
 日米両政府は外務・経済閣僚による「日米経済政策協議委員会」(経済版2プラス2)を開催する方向で調整している。半導体や人工知能(AI)など先端技術の産業基盤強化のほか、中国を念頭に、貿易相手国へ圧力をかける「経済的威圧」にどう対処するか議論するとみられる。 

(ニュース提供元:時事通信社)