【ドバイ時事】アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催中の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)は10日、気候変動の影響による被害を軽減する「適応策」の世界目標に関する草案を各国に示した。2030年までに各国の事情に応じて水や食料の不足を解消し、水害対策と保健サービスの強化を目指すとしている。
 経済力が乏しく、インフラも脆弱(ぜいじゃく)な途上国では、海面上昇や洪水など気候変動の影響が深刻化している。草案は、適応策の目標達成に向け、各国が25年までに気候変動に関するリスク評価を実施して、その結果を国別拠出金の策定に反映させる仕組みも提案した。
 一方、先進国から気候変動の影響を受ける途上国への資金提供に関する具体的な記述はなかった。
 適応策に関する先進国から途上国への支援額は20年時点で約286億ドル(約4兆1400億円)。21年のCOP26では、資金を25年までに19年比で2倍以上にすることで合意したが、その後は具体的な交渉が進んでおらず、途上国側は不満を募らせている。
 国際NGOの関係者は「途上国の反発を招くと、先進国が望む温室効果ガスの削減強化策の交渉に影響が出かねない」と指摘。適応策の議論を加速させるよう訴えた。 

(ニュース提供元:時事通信社)