【ドバイ時事】アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催中の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)は11日、最終日の12日を前に、詰めの交渉に入った。議長国UAEは成果文書の議長草案を提示。温室効果ガスを大量排出する石炭や石油などの化石燃料について「2050年ごろまでに、消費と生産の両方を公正で秩序ある方法で削減する」との文言を盛り込んだ。
 先に示された草案は化石燃料の「段階的廃止」に言及したが、サウジアラビアなど中東の産油国が強く抵抗。議長草案からは除かれた。ただ、気候変動の影響に直面する島しょ国のグループなどの反発を招く可能性があり、決着は見通せない状況だ。
 国連のグテレス事務総長は11日、会場内で記者団に対し、「COP28の成否は、化石燃料の段階的廃止で合意できるかに懸かっている。しかし、それは全ての国が同時に廃止するという意味ではない」と述べ、各国に一定の歩み寄りを求めた。
 気候変動対策の国際合意「パリ協定」は、産業革命前からの世界の気温上昇を今世紀末までに1.5度に抑える目標を掲げている。議長草案は、目標達成には25年までに世界の温室ガス排出量をピークアウトさせる必要があると指摘。その上で温室ガス排出を30年までに19年比43%減、35年までに60%減とし、50年までに実質ゼロにする必要があると強調した。
 また、エネルギー源を化石燃料から、温室ガスを出さない原子力や水素に切り替える取り組みを強化すると明記。走行中に温室ガスを排出しないゼロエミッション車(ZEV)などの導入加速のほか、UAEが主導した、30年までに再生可能エネルギーを世界全体で3倍にする目標も盛り込んだ。 
〔写真説明〕COP28会場で、記者団の質問に答える国連のグテレス事務総長=11日、アラブ首長国連邦・ドバイ

(ニュース提供元:時事通信社)