ロシアのプーチン大統領が14日に開いた記者らとの会見で、プーチン氏の「偽者」が本人に質問する一幕があった。正体は人工知能(AI)を活用した「ディープフェイク」と呼ばれる偽動画。プーチン氏は「最初のそっくりさんだ」と反応し、自身の「影武者」を巡るうわさを否定した。
 質問者は「サンクトペテルブルク国立大の学生」とされ、プーチン氏と姿や声がそっくりの映像として登場。政権がお膳立てしたやりとりとみられ「あなたに大勢の影武者がいるというのは本当か」「AIがわれわれにもたらす危険について、どう考えるか」などとただした。
 プーチン氏は冗談めかして「あなたは私に似て私の声で話すかもしれないが、そうしていいのは私一人だけだと決めている」と回答。今回のディープフェイクが登場するまで、自分とうり二つの人物は存在してこなかったと主張した。
 影武者の存在説は、今も内外でまことしやかにささやかれている。プーチン氏は2020年、国営タス通信のインタビューで、ロシアでテロが多発した大統領1期目当時、暗殺から逃れるために影武者を置くよう提案されたが、拒否したと話していた。 
〔写真説明〕14日、モスクワで記者らと会見するプーチン大統領(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)