1歳未満の子どもを自転車に乗せないよう、国民生活センターが呼び掛けている。抱っこして乗せることは法令違反に当たり、幼児用座席やヘルメットは1歳以上が対象だ。乳児を安全に乗せる方法はないのが実情で、同センターは「別の移動方法を検討してほしい」と訴えている。
 各都道府県の道路交通規則では、子どもを自転車に乗せる際の抱っこを禁じ、幼児用座席を使うかおんぶするよう定めている。
 同センターが昨年9月、抱っこひもかおんぶひもを使って自転車に同乗させたことがあるとした男女1000人にアンケート調査したところ、654人が抱っこしたことがあると回答した。116人は抱っこした際に転倒したことがあると答え、135人が子どもの転落を経験していた。
 担当者は「外出時などに置いて行けず、やむを得なかったのだろう」と話すが、抱っこは視界やハンドル操作が妨げられ、転倒した場合に子どもをかばえないと指摘する。2017年度以降の約6年間で、抱っこによる転倒・転落事故で医療機関を受診したケースは32件あり、頭蓋骨骨折などの重傷を負った子もいた。
 着用の努力義務が課されているヘルメットは、乳児用がないのが現状だ。国民生活センターが大手通販サイトで販売されていた子ども用ヘルメット3種を購入し、首が据わっておんぶできるようになる生後4カ月を想定し着用テストした結果、いずれも大きすぎた。事故時に危険が伴うだけでなく、首に負荷が生じる懸念もあるという。
 担当者は「現状ではおんぶでも安全に乗せることは難しい。自転車はヘルメットと幼児用座席を使える1歳からにしてほしい」と話している。 
〔写真説明〕抱っこして自転車を運転し、転倒する様子(国民生活センター作成の動画より)

(ニュース提供元:時事通信社)