【北京時事】中国経済の成長を支えてきた民間経済が失速している。習近平国家主席ら指導部の下で、企業活動への統制が強まったことが影響している。民間企業の成長率は国有企業を下回っており、景気停滞が長引く要因になっている。
 「民間経済は中国式現代化の重要な推進力だ」。共産党機関紙の人民日報は18日、改革開放政策45年を記念した特集記事で、民間経済の発展を訴えた。中国では経済活動の6割が民間で、就業者の8割が民間企業で働いているとされる。中国人民銀行(中央銀行)などは11月、民間融資を増やすよう金融機関に求める通知を出した。
 民間企業を巡る環境は厳しさを増すばかりだ。国家統計局によると、1~11月の鉱工業生産の伸びは前年同期比で国有企業が民間企業を上回った。幅広い投資動向を示す都市部固定資産投資も、国有企業が6.5%増加した一方、民間企業は0.5%のマイナスとなった。インフラ投資など景気対策の恩恵は国有企業に偏っている。
 習指導部は民間企業の発展を訴えつつも、党が統制しやすい国有企業の競争力強化にまい進してきた。巨額の負債を抱える一部の国有企業が事業を続ける一方、社会的な影響力を高めたアリババ集団などは巨額の罰金を科された。専門家は、国有企業が幅を利かす「国進民退」が進んでいると分析。景気回復に向け民間企業にとって「公平」な競争環境を整備する必要があると指摘した。 

(ニュース提供元:時事通信社)