ロシアは29日、侵攻を続けるウクライナ各地にミサイルやドローンで大規模な攻撃を加えた。首都キーウ(キエフ)などで被害が発生。ウクライナ空軍司令官は通信アプリ「テレグラム」で、昨年2月の侵攻開始以降で「最も激しい空からの攻撃」だったとの見方を示した。
 現地メディアのウクラインスカ・プラウダは、23人が死亡、子供を含む132人が負傷したと報道。ウクライナ軍のザルジニー総司令官は、ミサイル122発とドローン36機が使われたと明らかにした。ゼレンスキー大統領は、テレグラムで「ロシアは保有する全ての兵器で攻撃してきた。(発射されたミサイルの)大半を撃墜した」と主張した。
 ロイター通信などによると、東部ドニプロペトロウシク州ではショッピングセンターや集合住宅などがミサイルで被弾し、5人が死亡。キーウでは倉庫が攻撃され倒壊し、1人の死亡が確認されたほか、10人ががれきの下敷きになった。
 黒海に面した南部の港湾都市オデッサでは集合住宅が被弾し、3人が死亡、子供を含む少なくとも15人が負傷。ポーランド国境に近い西部リビウでも1人が死亡したほか、インフラが打撃を受けた。シュミハリ首相は「敵は重要インフラを標的にしている」と非難。エネルギー省はキーウなど4州で停電が報告されていると明らかにした。
 AFP通信によれば、ポーランド軍当局者は、自国領空をロシアのミサイルが一時通過し、迎撃態勢を取ったと説明した。ロシア軍は29日の戦況報告で「23~29日に50回の集団攻撃と1回の大規模攻撃を実施した」と発表。軍事施設を狙って「全ての標的に命中させた」と強調した。 
〔写真説明〕29日、ウクライナ東部ドニプロで、ロシアの攻撃で被弾した商業施設(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)