【ワシントン時事】バイデン米政権は、米国内の半導体生産を拡大するため補助金支給に乗り出した。これまでに米英2企業に計約2億ドル(約290億円)の助成を決定。「年内に十数件」(レモンド商務長官)が対象となる見込み。戦略物資である半導体の中国依存を脱し、経済安全保障を強化する狙いだ。
 助成制度は2022年に成立した半導体補助金法に基づく。半導体の国内生産や研究開発の支援に500億ドル超の財政支援を盛り込んだ。そのうち390億ドルを国内生産の拡大に充てる。
 米内外の約570社が関心を示しており、半導体受託製造最大手の台湾積体電路製造(TSMC)、米インテルなどへの大規模支援が見込まれている。バイデン大統領が再選を目指す大統領選を秋に控え、雇用拡大をアピールする狙いも透ける。
 助成対象で先行したのは米マイクロチップ・テクノロジーと英BAEシステムズ。2社とも防衛産業向けの半導体供給を担う戦略企業で、それぞれ1億6200万ドル、3500万ドルを受ける。レモンド氏は「半導体確保は安全保障の中心だ」と述べ、戦略物資を国内で調達できる体制を強化する重要性を訴えた。
 世界の半導体生産能力は台湾や中国、日本などアジアに偏り、米国のシェアは1割程度しかない。バイデン政権は対立を深める中国への依存を警戒。政府補助金で民間企業の半導体投資を促し、シェアを2割程度まで引き上げたい考えだ。 
〔写真説明〕バイデン米大統領(左)とレモンド商務長官=2023年10月23日、米ワシントン(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)