【ワシントン時事】バイデン米政権は26日、自由貿易協定(FTA)を締結していない国向けの液化天然ガス(LNG)の新規輸出認可を一時停止し、環境への負荷などを検証すると発表した。バイデン大統領が再選を目指す11月の大統領選を見据え、気候変動問題を重視する姿勢を強調する。一方、野党共和党を中心とする米議会やエネルギー業界からは反発の声が上がっている。
 米政権は、数カ月かけて新たな審査基準を策定する。米国は世界最大のLNG輸出国。認可済みの事業は対象外で、日本や欧州向け輸出は続けられる。ホワイトハウスは「世界中の同盟国を支援するとの約束は維持している」と強調した。ただ、厳しい基準が課されれば、各国のエネルギー確保にも影響が出る恐れがある。
 バイデン氏は声明で「世界の指導者らとともに、地球と国民を危険にさらす化石燃料からの脱却を図る。さらなる行動が必要だ」と説明した。ロイター通信によると、南部ルイジアナ州やテキサス州などで最大6事業が一時停止の直接的な影響を受けるという。
 ただ、今回の措置には批判も多い。米石油協会(API)のサマーズ会長は「同盟国や雇用、世界的な気候変動問題への取り組みにとっての損失だ」と反発。ジョンソン下院議長(共和党)は「米経済の成長を妨げ、ロシアのような敵対国に資する」と述べた。 

(ニュース提供元:時事通信社)