【ジャカルタ時事】インドネシア大統領選は14日、投開票され、地元の複数の調査機関によると、プラボウォ国防相(72)=グリンドラ党党首=が60%近い票を獲得し、当選をほぼ確実にした。プラボウォ氏は同日夜、勝利宣言した。
 プラボウォ氏はジャカルタで開いた記者会見で「複数の調査機関の結果を見る限り、われわれが1回目の選挙で勝ったことは間違いない。総選挙委員会の正式結果を待ちたい」と述べた。次期大統領の就任日は10月20日。
 調査機関によると、アニス前ジャカルタ特別州知事(54)=無所属=が獲得した票の割合は20%台、ガンジャル前中ジャワ州知事(55)=闘争民主党=は10%台後半だった。
 プラボウォ氏は、現在でも高い人気を誇るジョコ大統領の路線継承を誓い、支持率を伸ばしてきた。昨年10月には、ジョコ氏の長男で、中ジャワ州ソロ(スラカルタ)市長のギブラン氏(36)を副大統領候補に指名。盤石の態勢を敷いた。
 さらに、人工知能(AI)を使って作成したアバター(分身)が若者の間で「かわいい」と話題になり、親近感を持たれたことも大きかったとみられる。
 一方で、プラボウォ氏には、陸軍時代の1990年代後半に人権活動家らを拉致・監禁したとの疑惑が付きまとう。2014年と19年の大統領選でジョコ氏に敗れ、19年の敗北後に国内で起きた暴動への関与も疑われた。
 公約の一つに「天然資源の下流化(加工産業化)」を掲げており、電気自動車(EV)の電池の材料となるニッケルをはじめとする資源は「付加価値を付けてから輸出すべきだ」と強調。「インドネシア国民が恩恵を受けなければならない」と保護主義的な姿勢を見せている。 
〔写真説明〕14日、ジャカルタ近郊ボゴールで、インドネシア大統領選の投票を終えたプラボウォ国防相(AFP時事)
〔写真説明〕14日、ジャカルタで、インドネシア大統領選の投票締め切り後に支持者らに向けて演説するプラボウォ国防相(左)(AFP時事)
〔写真説明〕14日、ジャカルタの投票所でインドネシア大統領選の票を投じる女性

(ニュース提供元:時事通信社)