2024/05/21
防災・危機管理ニュース
【台北時事】台湾の頼清徳新総統が20日、就任した。頼氏は就任演説で、新政権の経済政策について、世界最高水準の製造技術を誇る半導体をテコに、人工知能(AI)産業を発展させ、台湾を「AIの島にする」と表明。「世界の民主的サプライチェーン(供給網)」のカギを握る存在として、日米欧などとの経済関係を強化し、中国依存からの脱却を図る意思をにじませた。
「台湾は経済分野で『太陽の沈まない国』になれる能力を絶対に持っている」。頼氏は演説でこう力説し、台湾の国際的地位向上に貢献した半導体に次ぐ重要産業を育成することで、「台湾に経済の奇跡を再びもたらす」と宣言した。
頼氏は最も力を入れる産業として、半導体やAI、軍事関連、安全制御システム、次世代通信の5分野を列挙。半導体受託製造世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)がAIの発展に欠かせない最先端半導体の製造技術を有し、台湾が既に「AI革命の中心に立っている」メリットを生かす形で、特にAI分野に力を入れる考えだ。
頼氏は、蔡英文前政権が推進してきた環太平洋連携協定(TPP)への加入にも引き続き努力すると強調。経済分野での独自色を出すため、経済部長やデジタル発展部長といった閣僚に、政治経験も党派色もない企業経営者や研究者を登用した。
1月の立法委員(国会議員)選で頼氏率いる与党・民進党が敗北した背景には、物価高や住宅価格の高騰、低賃金に対する有権者の不満があった。頼氏は演説で「経済発展の成果が全ての人に共有されるべきだ」と述べ、特に若者の不公平感解消に取り組む考えを示した。米中対立の激化を背景に中国による経済的圧力が増すことも予想され、内外に問題を抱える中、頼氏の手腕が早速問われることになりそうだ。
(ニュース提供元:時事通信社)
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