2024/06/01
防災・危機管理ニュース
【ロンドン時事】5月29日投票の南アフリカ国民議会(定数400)選挙は、6月1日までの開票の結果、与党アフリカ民族会議(ANC)が第1党の座を維持するものの過半数を失うことが確実な情勢となった。1994年の全人種参加選挙以降、一貫して政権を担った同党の過半数割れは初めて。アパルトヘイト(人種隔離)を乗り越え、民主化30年を迎えた南ア政治は最大の岐路を迎えた。
1日午前の選挙委員会の発表によると、開票率約98%の段階で、ラマポーザ大統領率いるANCの得票率は約40%。民主化後史上最低だった前回2019年(57.5%)を大幅に下回った。産業界寄りで白人が主な支持基盤の民主同盟(DA)は約22%を得票。ズマ前大統領の新党・民族のやり(MK)はANCの票田で支持を伸ばし、約15%と躍進した。鉱山国有化などを政策に掲げる急進左派・経済的解放の闘士(EFF)は約9%だった。
初の黒人大統領ネルソン・マンデラ氏(13年死去)がかつて率いたANCは、アパルトヘイト終結を導いた功績から黒人有権者の圧倒的支持を得てきた。しかし、民主化後も経済・社会格差は縮まらず、人口の8割を占める黒人層の多くは今も高失業率にあえぐ。インフラの機能不全で停電や水不足が常態化し、生活改善の兆しが見られない中、人々は変化を求めて政権与党に「ハンマーの一撃」(BBC放送)を食らわせた。
ANCの過半数割れにより、今後は政権維持に向けた各党との連立協議が焦点となる。連立相手にはDAをはじめさまざまな候補が挙げられる。だが、30年もの長きにわたりANCの単独長期支配が続いただけに、立場の異なる政党間の協議が難航するのは必至だ。
〔写真説明〕投票する南アフリカの与党アフリカ民族会議(ANC)の議長(党首)を務めるラマポーザ大統領(右から2人目)=5月29日、ヨハネスブルク郊外ソウェト(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)
![](/mwimgs/4/6/-/img_46ffcc3f1afb4db8759fdc67c523fc6c55260.jpg)
- keyword
- 南アフリカ
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
3線モデルで浸透するリスクマネジメントコンプライアンス・ハンドブックで従業員意識も高まる【徹底解説】パーソルグループのERM
「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンとして掲げ、総合人材サービス事業を展開するパーソルグループでは、2020年のグループ経営体制の刷新を契機にリスクマネジメント活動を強化している。ISO31000やCOSO-ERMを参考にしながら、独自にリスクマネジメントの体制を整備。現場の業務執行部門(第1線)、ITや人事など管理部門(第2線)、内部監査部門(第3線)でリスクマネジメントを推進する3線モデルを確立した。実際にリスクマネジメント活動で使っているテンプレートとともに、同社の活動を紹介する。
2024/07/23
-
インシデントの第一報を迅速共有システム化で迷い払拭
変圧器やリアクタなどの電子部品や電子化学材料を製造・販売するタムラ製作所は、インシデントの報告システム「アラームエスカレーション」を整備し、素早い情報の伝達、収集、共有に努めている。2006年、当時社長だった田村直樹氏がリードして動き出した取り組み。CSRの一環でスタートした。
2024/07/23
-
「お困りごと」の傾聴からはじまるサプライヤーBCM支援
ブレーキシステムの開発、製造を手掛けるアドヴィックスは、サプライヤーを訪ね、丁寧に話しを聞くことからはじまる「BCM寄り添い活動」を2022年度から展開している。支援するのは小規模で経営体力が限られるサプライヤー。「本当に意味のある取り組みは何か」を考えながら進めている。
2024/07/22
-
-
危機管理担当者が知っておくべきハラスメントの動向業務上の指導とパワハラの違いを知る
5月17日に厚生労働省から発表された「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」によると、従業員がパワハラやセクハラを受けていると認識した後の勤務先の対応として、パワハラでは約53%、セクハラでは約43%が「特に何もしなかった」と回答。相談された企業の対応に疑問を投げかける結果となった。企業の危機管理担当者も知っておくべきハラスメントのポイントについて、旬報法律事務所の新村響子弁護士に聞いた。
2024/07/18
-
基本解説 Q&A 線状降水帯とは何か?集中豪雨の3分の2を占める日本特有の現象
6月21日、気象庁が今年初の線状降水帯の発生を発表した。短時間で大量の激しい雨を降らせる線状降水帯は、土砂災害発生を経て、被害を甚大化させる。気象庁では今シーズンから、半日前の発生予測のエリアを細分化し、対応を促す。線状降水帯研究の第一人者である気象庁気象研究所の加藤輝之氏に、研究の最前線を聞いた。
2024/07/17
-
-
災害リスクへの対策が後回しになっている円滑なコミュニケーション対策を
目を向けるべきOTリスクは情報セキュリティーのほかにもさまざま。故障や不具合といった往年のリスクへの対策も万全ではない。特に、災害時の素早い復旧に向けた備えなどは後回しになっているという。ガートナージャパン・リサーチ&アドバイザリ部門の山本琢磨氏に、OTの課題を聞いた。
2024/07/16
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方