2024/06/03
防災・危機管理ニュース
トレーナーから個別に筋力トレーニングなどの指導を受ける「パーソナルトレーニング」で、2023年までの6年間に209件の事故があったことが、消費者安全調査委員会(消費者事故調)の調査で分かった。事故は増加傾向にあり、骨折や神経損傷など深刻なケースもあった。事故調は再発防止策などの検討に向け、引き続き調査を進める。
調査は、ダイエットや運動不足解消を目的にトレーナーから1対1で受ける筋力トレーニングや食事指導が対象で、23年5月から開始した。こうしたトレーニングは体力や目標に合わせて取り組めるため、年々人気が高まっているという。
消費者庁などが運用するデータバンクに登録されたトレーニング関連の事故は6年間で505件あり、その4割超に当たる209件がパーソナルトレーニング関係だった。全治1カ月以上は61件。被害者は女性が9割を占めた。年代別では40代が最も多く、50代、30代と続いた。
国民生活センターに寄せられた情報では、ある30代女性がトレーナーの指導で2カ月間、前かがみで重いバーベルを持ち上げ続けた結果、腰を骨折した。このトレーナーは糖質ばかりの食事や、肉を急にたくさん食べるメニューなどの不適切な食事指導もしていた。
上体を反らした状態で肩甲骨付近を押されて痛かったが言い出せず、腰にしびれが出たケースもあった。腰痛改善のプログラムで立ち上がれないほど腰痛が悪化したり、糖質制限中に湿疹が出て、茶色い跡が残ったりした例もあった。
トレーナーに公的な資格はなく、指導の方法や知識、質にばらつきがある。このため利用者自身で事故を回避するのは難しいという。
消費者事故調の中川丈久委員長は「トラブルが多様で注意喚起が困難だが、これからも事故は増えていくと予想できる。無理な指導にもまじめに取り組むような人ほど冷静になって気を付けてほしい」と呼び掛けている。
(ニュース提供元:時事通信社)
- keyword
- パーソナルトレーニング
- 事故
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
3線モデルで浸透するリスクマネジメントコンプライアンス・ハンドブックで従業員意識も高まる【徹底解説】パーソルグループのERM
「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンとして掲げ、総合人材サービス事業を展開するパーソルグループでは、2020年のグループ経営体制の刷新を契機にリスクマネジメント活動を強化している。ISO31000やCOSO-ERMを参考にしながら、独自にリスクマネジメントの体制を整備。現場の業務執行部門(第1線)、ITや人事など管理部門(第2線)、内部監査部門(第3線)でリスクマネジメントを推進する3線モデルを確立した。実際にリスクマネジメント活動で使っているテンプレートとともに、同社の活動を紹介する。
2024/07/23
-
インシデントの第一報を迅速共有システム化で迷い払拭
変圧器やリアクタなどの電子部品や電子化学材料を製造・販売するタムラ製作所は、インシデントの報告システム「アラームエスカレーション」を整備し、素早い情報の伝達、収集、共有に努めている。2006年、当時社長だった田村直樹氏がリードして動き出した取り組み。CSRの一環でスタートした。
2024/07/23
-
「お困りごと」の傾聴からはじまるサプライヤーBCM支援
ブレーキシステムの開発、製造を手掛けるアドヴィックスは、サプライヤーを訪ね、丁寧に話しを聞くことからはじまる「BCM寄り添い活動」を2022年度から展開している。支援するのは小規模で経営体力が限られるサプライヤー。「本当に意味のある取り組みは何か」を考えながら進めている。
2024/07/22
-
-
危機管理担当者が知っておくべきハラスメントの動向業務上の指導とパワハラの違いを知る
5月17日に厚生労働省から発表された「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」によると、従業員がパワハラやセクハラを受けていると認識した後の勤務先の対応として、パワハラでは約53%、セクハラでは約43%が「特に何もしなかった」と回答。相談された企業の対応に疑問を投げかける結果となった。企業の危機管理担当者も知っておくべきハラスメントのポイントについて、旬報法律事務所の新村響子弁護士に聞いた。
2024/07/18
-
基本解説 Q&A 線状降水帯とは何か?集中豪雨の3分の2を占める日本特有の現象
6月21日、気象庁が今年初の線状降水帯の発生を発表した。短時間で大量の激しい雨を降らせる線状降水帯は、土砂災害発生を経て、被害を甚大化させる。気象庁では今シーズンから、半日前の発生予測のエリアを細分化し、対応を促す。線状降水帯研究の第一人者である気象庁気象研究所の加藤輝之氏に、研究の最前線を聞いた。
2024/07/17
-
-
災害リスクへの対策が後回しになっている円滑なコミュニケーション対策を
目を向けるべきOTリスクは情報セキュリティーのほかにもさまざま。故障や不具合といった往年のリスクへの対策も万全ではない。特に、災害時の素早い復旧に向けた備えなどは後回しになっているという。ガートナージャパン・リサーチ&アドバイザリ部門の山本琢磨氏に、OTの課題を聞いた。
2024/07/16
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方