2024/06/03
防災・危機管理ニュース
【バンコク時事】ミャンマー西部ラカイン州で、イスラム系少数民族ロヒンギャに対する暴力や強制移住といった迫害が再び激化している。クーデターで実権を握った国軍と抵抗勢力の紛争に巻き込まれて双方から弾圧を受けており、国際社会は懸念を表明した。
ラカイン州では昨年11月以降、仏教徒が中心の少数民族ラカイン族の武装勢力「アラカン軍(AA)」が国軍への攻勢を強め、複数の地域を制圧。今年5月中旬にはバングラデシュとの国境に近く、ロヒンギャが多く暮らすブティダウンを支配したと主張した。
シンクタンク「国際危機グループ」によると、紛争の過程で国軍はロヒンギャに対する徴兵を行い、戦場に投入している。兵士らがロヒンギャの過激派組織と協力し、ラカイン州内の村を襲撃して放火したという情報もある。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の声明によれば、AAによるブティダウン制圧などに伴い数万人のロヒンギャが家を追われた。「逃げる際に数十人の遺体を目撃した」という生存者の証言も紹介。殺人や放火が行われた疑いを指摘し、「暴力の即時停止と民間人が差別なく保護されることを求める」と訴えた。
AAは「われわれがブティダウンを破壊したという情報は虚偽だ。民間人はAAの支配地域に避難している」と弾圧を否定している。
仏教徒が多いミャンマーでロヒンギャは「不法移民」と見なされ、国籍や移動の自由がないなど長年迫害を受けてきた。2017年には国軍による大規模な掃討作戦で多数の民間人が殺害され、70万人以上がバングラデシュに避難。難民キャンプでの暮らしを余儀なくされている。
〔写真説明〕ミャンマー国軍と少数民族ラカイン族の武装勢力「アラカン軍(AA)」の戦闘後、家屋の近くを歩く女性=5月21日、西部ラカイン州ミンビャ(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

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