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神経データとは?

ニューロテクノロジーは急速に進化し、SFの世界から実験室、そして実生活の消費者向けアプリケーションへと拡大している。ウェアラブル消費者向けデバイスや埋め込み型医療機器などの新技術により、企業は近い将来、神経データと呼ばれる新たな種類の非常に機密性の高い情報を収集することで、消費者の心に直接アクセスできるようになるかもしれない。

神経データとは、一般的に、人の神経系の活動を直接測定することで得られるあらゆる情報を指す。ニューロテクノロジーデバイスは、脳と神経系からの信号を直接測定するため、そのデータから個人の精神状態、感情、認知機能に関するリアルタイムの洞察が得られる可能性が高い。このデータの機密性は、情報を収集・処理、さらには保管する組織にとって、新たな法的および倫理的リスクをもたらす。神経データを取り巻く新たなリスクを積極的に管理するうえで、企業はこのデータがビジネスプロセスとどのように作用するかを理解する必要がある。さらに、神経データを取り巻く法的および規制環境も変化しており、少なくとも全米で9つの州がこのデータの収集と利用を規制する法律を制定または審議しており、個人のプライバシー保護に関する新たなリスクと義務が生じている。

市場におけるニューロテクノロジー

神経データやニューロテクノロジーという概念は未来の話かと思うかもしれないが、こうした技術は既にヘルスケア市場や消費者市場に浸透しつつある。例えば、Museヘッドバンド、Emotiv*1) EPOC X、Neurable*2)のEEG対応ヘッドフォンなど、頭皮に装着した電極を通して神経データを測定するウェアラブル脳波(EEG)デバイス*3)は、消費者が容易に入手できる。これらのデバイスは、瞑想、健康状態の追跡、ゲーム、さらには職場の生産性モニタリングに神経データを活用することを可能にする。

*1)訳者注:Emotiv(エモティブ)は、脳波(EEG:Electroencephalography)技術を活用して、人間とマシンのインターフェース(BMI)を開発・販売する、世界的に有名なバイオインフォマティクス(生物情報科学)企業。

*2)訳者注:Neurable(ニューラブル)は、アメリカのボストンに拠点を置く、脳波(EEG)を活用したBCI(Brain-Computer Interface:脳コンピューターインターフェース)技術を開発するスタートアップ企業。

*3)訳者注:ウェアラブル脳波デバイスとは、病院で使われるような大型の装置ではなく、日常的に身につけられる形状(ヘッドセット、ヘッドバンド、イヤホン型など)に小型化された「脳活動をリアルタイムで測定する機器」のこと。EEGは Electroencephalogram(脳波図) の略称。脳の神経細胞(ニューロン)が活動する際に発生する微弱な電気信号を、頭皮に触れる電極で捉えるもの。

2025年12月、FDA*4)はFlow Neuroscienceヘッドセットの初の市販前承認を付与した。これは、うつ病性障害の治療を目的とした家庭用経頭蓋直流電流刺激(tDCS)デバイスである。tDCSデバイスは特定の脳領域に電流を流すため、科学者たちはうつ病、不安、気分の不安定さ、不眠症の緩和に利用できると考えている。

*4)訳者注:FDA(米国食品医薬品局)は、アメリカ保健福祉省(DHHS)に属する政府機関。食品、医薬品、医療機器、化粧品などの安全性や有効性を監督・規制し、アメリカ国民の健康を守る役割を担う。

さらに、イーロン・マスク氏のNeuralinkのような企業は現在、外科手術で埋め込む脳コンピューターインターフェース(BCI)の臨床試験を行っている。これは脳に直接装着し、思考によって生成される神経信号を通じてデジタル機器を制御できるようにするデバイスで、神経疾患や身体麻痺に苦しむ患者の支援につながる可能性がある。

たとえ神経技術を設計・販売していなくても、企業などの組織が他の方法で神経データとやり取りする可能性もある。医療従事者は、臨床モニタリングやケア用に設計された埋め込み型医療機器から神経データを処理する場合がある。テクノロジー企業は、神経データを生成・保存する消費者向けウェアラブル機器や医療機器向けのプラットフォームを開発・サポートする場合もある。マーケティング企業は、消費者の関心・関与、製品への反応を追跡するために神経データを活用することもある。組織が神経データに遭遇するあらゆるシナリオにおいて、潜在的な法的責任や規制リスクが伴うのだ。