東京都は30日、災害時の避難生活を包括的に支える新たな指針「東京都避難者生活支援指針」を公表した。本指針は、従来の避難所中心の支援から転換し、在宅避難や被災地外避難を含めた多様な避難形態に対応する総合的な支援の枠組みを示したもの。東京は耐震性の高い住宅が多く、必ずしも全ての住民が避難所に移動する必要がない都市特性を有している一方で、首都直下地震などの発生時には膨大な避難者が発生することが想定されている。このため指針では、避難生活を「避難所避難」「在宅避難」「被災地外避難」の三類型に整理し、どのような場所で避難生活を送る場合でも必要な支援が確実に届く体制の構築を基本理念として掲げた。

具体的には、避難者情報の把握と共有、物資供給体制の整備、医療・福祉支援の確保などを通じて、避難生活全体を支える仕組みの強化を図るとともに、高齢者や障害者、外国人などの要配慮者への対応を一層重視。また、災害関連死の防止を重要課題として位置付け、避難環境の改善や継続的な健康管理の必要性を明確に打ち出している。特に、在宅避難については、新たな柱として位置付けられ、自宅の安全確認の仕組みや備蓄の推進、マンションにおける物資搬送体制の整備、支援拠点の設置など、避難所に依存しない支援策を具体的に示した。さらに、被害が甚大な場合に備え、被災地外への広域避難も有効な選択肢とし、自治体間の連携や受入体制の整備を進める必要性を指摘している。

指針はまた、区市町村に対して地域特性を踏まえた避難生活支援の全体設計を求めており、避難所の収容能力や在宅避難者の分布などを考慮したうえで、支援拠点の配置や機能をあらかじめ検討しておく必要があるとしている。

参考資料として、発災直後の対応を整理した「避難所の初動対応のポイント」をはじめ、避難所運営委員会で使用する各種様式集、運営に関する参考資料、避難者向けの掲示様式などが体系的に示されており、マニュアル未整備の自治体でも一定水準の避難所運営が可能となる構成となっている。