18日午前10時前、大阪市中央区宗右衛門町の雑居ビルから出火し、7階建てと5階建てのビル計約100平方メートルが燃えた。大阪府警や市消防局によると、この火事で消防隊員の男性2人が死亡。20代女性と20~30代の消防隊員4人が煙を吸うなどして病院に搬送されたが、いずれも命に別条はない。
 市消防局によると、亡くなった2人は浪速消防署の消防司令森貴志さん(55)と消防士長友光成さん(22)。2人は別の隊員と計3人で7階建てビル1階から上の階に向かった。1人は脱出したが、2人は取り残され、その後、6階で発見された。
 2023年6月に現場の二つのビルを立ち入り調査した際、避難訓練の実施や火災報知器の設置状況など6項目の消防法違反を確認。通知を出し、一部が是正されたという。
 火災では午前9時50分ごろ、「別店舗の1階から火が出ている」と近隣店舗の女性から119番があった。消防車など計65台が出動し、約9時間後に消し止められた。
 現場は大阪・ミナミの繁華街で、多くの観光客や若者らが行き交う戎橋の近く。周辺には多数の消防車や救急車が駆け付け、煙が立ち上るビルに向かって放水する様子を、通行人らが見守っていた。
 横山英幸市長は報道陣の取材に応じ「消防職員が命を落とすということは痛恨の極みで、心からご冥福をお祈りする。発生原因や状況を確認して再発防止に努めていきたい」と話した。市長によると、死亡した2人は現場建物内で消火活動中、崩落が発生し避難が阻まれた可能性があるという。
 市消防局は「二度とこのようなことが起こらぬよう、消防局内に事故調査委員会を設置し、原因を明らかにすべく、徹底した調査を進める」とのコメントを発表した。 
〔写真説明〕火災のあった道頓堀のビル(中央)=18日午前、大阪市中央区

(ニュース提供元:時事通信社)