特別講演は、地域防災EXPOのイベントとして行われた

2026年11月開設に向け、設置法案の審議が大詰めを迎える防災庁について、担当する内閣府大臣官房審議官(防災担当)で内閣官房防災庁設置準備室審議官の河合宏一氏が5月14日、東京都内で講演し、「(阪神淡路大震災以来の)30年以上にわたる課題、悲願が成就する目前にまで来た」と感想を語った。また、防災庁の文教研修施設として開設が検討されている「防災大学校」(仮称)について、「防災人材育成のため、自治体職員や民間企業、NPOなどにも活用してもらう」と述べた。

講演する内閣府の河合氏

防災・危機管理の実務に役立つ製品などを集めた専門展示会「第5回地域防災EXPO」に合わせて実施されたイベントの一環で、河合氏が特別講演した。

講演テーマは、「防災庁設置に向けた最新の取組と今後の方針」。注目度の高いテーマとあって、自治体関係者らが多く集まり、約470人が会場を埋め尽くして、立ち見客も出た。

この日は、ちょうど衆議院災害対策特別委員会で、設置法案の審議を終える日程になっているという。今後、衆議院本会議や参議院での審議を控えているものの、河合氏は「11月に予定される防災庁設置に、かなり近づいた」と見通しを述べた。

また、石破茂・前首相の看板政策として防災庁設置が進められてきた経緯を振り返ったうえで、高市早苗・現首相も「重大な課題として先頭に立って、法案成立に向けて取り組んでいたただいている」と語った。

出先機関は「西」と「北」に2カ所

さらに、河合氏は、計画される組織体制について言及した。

注目が集まる文教研修施設「防災大学校」(仮称)は、設置する方向で検討を進めている。ただ、防災庁の職員の研修に限定せずに、防災人材育成のため、むしろ、自治体職員や民間企業、NPOなどにも活用してもらう機能を持たせる方針だという。

河合氏は、リスク対策.comの取材に対して、「設置時期などは未定だが、すでにある教育施設を格上げして(大学校として)開設することも選択肢の一つだ」と語った。

また、地方の出先機関として防災局も設置する方針だ。11月に開設する本庁に続いて、2年後までをめどに防災局2カ所を先行して設置する検討を進める。すでに全国の40を超える地域から出先機関の誘致の要望が寄せられているという。

河合氏は講演で、2カ所について、南海トラフ地震に向けた東京より以西の地域と、日本海溝・千島海溝地震に向けた以北の地域での設置を想定しているとの考えを示した。

河合氏は、計画される組織体制についても解説した。

防災庁は、デジタル庁や復興庁と並んで内閣府に直属する形で置かれる。内閣府の防災担当は当初、職員が110人だったが、「本当に考えられないことが起きた」(河合氏)として2025年度に220人に倍増された。さらに、正式に防災庁になれば、定員352人体制に膨れ上がる予定だ。2026年度からプロパー人材としての新卒採用のほか、中途採用も合わせて行い、専門人材の育成を進めていく方針だという。

展示会会場には自治体関係者らが多く集まったという

防災庁には、専門の防災大臣が置かれ、副大臣、政務官を各2人配置。事務方も、事務次官のもとに、局長級の4人の統括官が置かれる。

防災庁は、災害時に司令塔として機能するほかに、事前防災の段階から、徹底的に災害に備えて各省庁を引っ張っていく役割と位置付けられている。「内閣府の一部局でしかなかったら、とてもできなかった」(河合氏)領域だ。事前防災として、防災大臣は、各省庁の大臣に対して、勧告できる権限が与えられる。「強制力はないが、一段高い立場から、物を申せる」(河合氏)ようになる仕組みだという。

「第5回地域防災EXPO」は東京都江東区の有明ビッグサイトで、5月13~15日の日程で開かれている。