2017/09/01
防災・危機管理ニュース

東京都は防災の日である1日、調布市と合同総合防災訓練を開催した。小池百合子知事が自宅からヘリコプターを利用し都庁に移動した後、災害対策本部会議を実施。被害状況の報告や小池知事と長友貴樹・調布市長とのテレビ会議などが行われた。都知事のヘリによる登庁訓練は2013年度の当時の猪瀬直樹知事が行って以来。
午前7時30分、多摩地域を震源とするマグニチュード(M)7.3、最大震度6強の地震が発生したと想定。通常の道路を使った移動が困難と判断し、小池知事がヘリを使い移動する訓練を行った。自宅から都バス施設に徒歩で向かい、そこからパトカーで近くの都立公園へ。ヘリに乗り込み都立代々木公園にある陸上競技場の織田フィールドに移動。同8時13分に降り立った後は災害対策車で都庁に向かった。

午前9時からは都庁で小池知事も本部長として出席し災害対策本部会議を開催。スカイタワー西東京(田無タワー)からの高所カメラや荒川沿いの木造住宅密集地域を飛ぶヘリからの映像が大型カメラに映し出されたほか、都職員の参集状況や警視庁、東京消防庁や都庁各局からの報告が行われた。さらに調布市の長友市長とテレビ会議を実施。長友市長は火災や道路の閉塞が起こっていることを報告した。
小池知事は救助しないと生存率が下がる72時間の壁を意識し、人命救助最優先を指示。特に多摩地域と木密地域の多い23区東部での対処に注力し、木密地域の延焼阻止を呼びかけた。また、職員の安全を確保し、家族の安否の確認を行い、職員が安心して働けるようにすること、あらゆる手段で都民に情報を発信すること、天気への注意を訴えた。
訓練後の記者会見で小池知事は「自然災害であれ人災であれ混乱は起こる。いろいろな場合を想定し、だれが何をするのか確認しておくのは重要。災対本部長である私は、都民の生命と財産を守ることが第一の役目であることを自覚した」と述べた。また「北朝鮮問題が読めない状況であるし、地震も同様だ。私は『備えを常に』をモットーにしているが、都民の協力を得て『備えている東京』を目指したい」と呼びかけた。訓練は3日も行われる。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
入居ビルの耐震性から考える初動対策退避場所への移動を踏まえたマニュアル作成
押入れ産業は、「大地震時の初動マニュアル」を完成させた。リスクの把握からスタートし、現実的かつ実践的な災害対策を模索。ビルの耐震性を踏まえて2つの避難パターンを盛り込んだ。防災備蓄品を整備し、各種訓練を実施。社内説明会を繰り返し開催し、防災意識の向上に取り組むなど着実な進展をみせている。
2025/06/13
-
「保険」の枠を超え災害対応の高度化をけん引
東京海上グループが掲げる「防災・減災ソリューション」を担う事業会社。災害対応のあらゆるフェーズと原因に一気通貫の付加価値を提供するとし、サプライチェーンリスクの可視化など、すでに複数のサービス提供を開始しています。事業スタートの背景、アプローチの特徴や強み、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/06/11
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/06/10
-
その瞬間、あなたは動けますか? 全社を挙げた防災プロジェクトが始動
遠州鉄道株式会社総務部防災担当課長の吉澤弘典は、全社的なAI活用の模索が進む中で、社員の防災意識をより実践的かつ自分ごととして考えさせるための手段として訓練用のAIプロンプトを考案した。その効果は如何に!
2025/06/10
-
-
緊迫のカシミール軍事衝突の背景と核リスク
4月22日にインド北部のカシミール地方で起こったテロ事件を受け、インドは5月7日にパキスタン領内にあるテロリストの施設を攻撃したと発表した。パキスタン軍は報復として、インド軍の複数の軍事施設などを攻撃。双方の軍事行動は拡大した。なぜ、インドとパキスタンは軍事衝突を起こしたのか。核兵器を保有する両国の衝突で懸念されたのは核リスクの高まりだ。両国に詳しい防衛省防衛研究所の主任研究官である栗田真広氏に聞いた。
2025/06/09
-
危険国で事業展開を可能にするリスク管理
世界各国で石油、化学、発電などのプラント建設を手がける東洋エンジニアリング(千葉市美浜区、細井栄治取締役社長)。グローバルに事業を展開する同社では、従業員の安全を最優先に考え、厳格な安全管理体制を整えている。2021年、過去に従業員を失った経験から設置した海外安全対策室を発展的に解消し、危機管理室を設立。ハード、ソフト対策の両面から従業員を守るため、日夜、注力している。
2025/06/06
-
福祉施設の使命を果たすためのBCPを地域ぐるみで展開災害に強い人づくりが社会を変える
栃木県の社会福祉法人パステルは、利用者約430人の安全確保と福祉避難所としての使命、そして災害後も途切れない雇用責任を果たすため、現在BCP改革を本格的に推進している。グループホームや障害者支援施設、障害児通所支援事業所、さらには桑畑・レストラン・工房・農園などといった多機能型事業所を抱え、地域ぐるみで「働く・暮らす・つながる」を支えてきた同法人にとって、BCPは“災害に強い人づくり”を軸にした次の挑戦となっている。
2025/06/06
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方