2021/04/04
BCP策定推進フォーラム開催レポート
東京都中小企業振興公社は1月28日、「コロナ危機を生き抜くBCPの運用方法」をテーマとするBCP策定推進フォーラムを都内で開催した。
第1部では、株式会社東京商工リサーチ情報本部情報部部長の松永伸也氏が基調講演を行ったほか、新建新聞社リスク対策.com編集長の中澤幸介氏が感染症を考慮したBCPについて解説した。第2部では、大成化工株式会社代表取締役社長の稲生豊人氏、株式会社マルワ代表取締役社長の鳥原久資氏、株式会社生出代表取締役社長の生出治氏の3者が事例発表を行なった。シリーズで、講演内容を紹介していく。第4回は、株式会社マルワ代表取締役の鳥原久資氏の講演内容を取り上げる。

環境対策、情報セキュリティそしてコロナ対策
当社は社員30人ほどの、どちらかというと小さな会社です。1958年に先代の父親が創業し、私が二代目の後継者社長です。事業内容は、印刷、デザイン、それから企画に力を入れる、ほぼ広告代理店に近い機能です。品質、環境、情報という3つのISOを取得し、特にグリーンプリンティングという環境マークを始め、森林認証、ゼロカーボンプリントといった環境への取り組みにこだわってきました。
小規模の会社が独自化戦略を展開する場合、本業ではなかなか勝てません。環境を含めたISO取得は、当社の独自化戦略でしたが、その中に緊急事態対応計画という内容があり、これがBCPに取り組むきっかけになりました。
当社では、2007年にBCPを作成し、2009年に感染症対策を盛り込んでいたわけですが、残念ながら今回のコロナ対応では役立ちませんでした。昨年3月頃から具体的に計画書の見直しを行い、HP等での対応の周知、チーム制の勤務、非接触系の検温器の導入、ビニールカーテンやアクリル板の設置などに取り組んできました。8月決算の段階で事業継続計画の再見直しを行っています。
当社の母体は印刷会社ですので、印刷機や加工機を使用し、配送業務が発生します。政府からのリモート要請に伴い、リモートでできる業務と、できない業務を選別し、在宅勤務によるリスク対策を役席者で構成される運営委員会で考えました。その結果、チーム制をとり、全員が交代で在宅勤務をすることになりました。緊急体制に伴う在宅勤務の覚書を係の社員と一緒に作り、緊急連絡網の手順書も作り直して、全社員に配布。その上で、4月の終わりからチーム制の交代勤務制をスタートしました。
一方、当社では情報発信を得意としており、様々な情報に関するニュースペーパーを配信しています。コロナ対応に関する内容では、在宅ワークの情報セキュリティリスク対策について、お客様、協力会社などにメールや請求書に同封して発信し、非常に喜んでいただきました。そのほか、マスクが手に入らない時期には、立体マスクの生地を作るためのベースを拵えて配布し、最近ではマスクケースを作って東日本大震災の被災者で名古屋に暮らす方々や、子供食堂にも無償で配布しました。印刷会社だからこそできる強みだと感じています。
BCP策定推進フォーラム開催レポートの他の記事
- 地震対策のBCPはコロナにも有効に機能する
- 社員一丸でまわすリスクマネジメント
- 週休3日でも工場稼働率を高める
- 感染症を考慮したBCPのポイント
- コロナによる中小企業への影響と今年の景気を読み解く
おすすめ記事
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/08/26
-
-
ゲリラ雷雨の捕捉率9割 民間気象会社の実力
突発的・局地的な大雨、いわゆる「ゲリラ雷雨」は今シーズン、全国で約7万8000 回発生、8月中旬がピーク。民間気象会社のウェザーニューズが7月に発表した中期予想です。同社予報センターは今年も、専任チームを編成してゲリラ雷雨をリアルタイムに観測中。予測精度はいまどこまで来ているのかを聞きました。
2025/08/24
-
スギヨ、顧客の信頼を重視し代替生産せず
2024年1月に発生した能登半島地震により、大きな被害を受けた水産練製品メーカーの株式会社スギヨ(本社:石川県七尾市)。その再建を支えたのは、同社の商品を心から愛する消費者の存在だった。全国に複数の工場があり、多くの商品について代替生産に踏み切る一方、主力商品の1つ「ビタミンちくわ」に関しては「能登で生産している」という顧客の期待を重視し、あえて現地工場の再開を待つという異例の判断を下した。結果として、消費者からの強い支持を受け、ビタミンちくわは過去最高近い売り上げを記録している。一方、BCPでは大規模な地震などが想定されていないなどの課題も明らかになった。同社では今、BCPの立て直しを進めている。
2025/08/24
-
-
-
-
ゲリラ豪雨を30分前に捕捉 万博会場で実証実験
「ゲリラ豪雨」は不確実性の高い気象現象の代表格。これを正確に捕捉しようという試みが現在、大阪・関西万博の会場で行われています。情報通信研究機構(NICT)、理化学研究所、大阪大学、防災科学技術研究所、Preferred Networks、エムティーアイの6者連携による実証実験。予測システムの仕組みと開発の経緯、実証実験の概要を聞きました。
2025/08/20
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方