【カイロ時事】アフリカ北東部スーダンで正規軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」との軍事衝突が始まってから15日で3カ月。両者が合意した度重なる一時停戦は実効性を欠き、むしろ全面的な内戦の瀬戸際に立っている。国際社会が調停に動くものの、現地からは「恒久停戦など無理だ」との声が上がる。
 両者の戦闘は4月15日に発生。首都ハルツームや近郊、西部ダルフール地方では激しい戦闘が続いている。国連は7月13日、西ダルフール州でRSFや協力組織が6月にマサリット族の住民ら少なくとも87人を殺害し遺体を集団墓地に埋めたとみられると報告。国連のペルテス事務総長特使(スーダン担当)はこれに先立ち、「民族的、部族的、イデオロギー的な紛争に移行する危険性があり、全面的な内戦に近い状況にある」と警告していた。
 クーデター後の民政移管に向かっていたスーダンは、RSFの軍への統合を巡る対立激化で「戦場」に一変。これまでに少なくとも3000人が死亡した。人道状況の悪化は深刻で、240万人以上が国内避難民となり、73万人以上が隣国に逃れた。
 幾度も発表された一時停戦は意味をなさず、米国とサウジアラビアが仲介した停戦も6月21日に期限切れとなった。軍とRSF双方が「消耗戦」を選択したとみる専門家もおり、短期的な解決は難しそうだ。
 戦闘長期化を憂慮する近隣諸国は事態収拾に向けた取り組みを本格化させている。東アフリカ各国を中心に組織された「政府間開発機構(IGAD)」は7月10日、エチオピアの首都アディスアベバで和平に向けた会議を開き、市民保護などを目的とした東アフリカ待機軍(EASF)配備の可能性に言及。エジプトがカイロで13日主催したスーダンの隣国7カ国による首脳会議では、停戦への実効的な行動計画を策定する閣僚級の仕組みを構築することで合意した。
 しかし、ハルツームのスーダン人記者ハレド・マサ氏(42)は、軍とRSFにとって一時停戦は国際社会への配慮を示す「ショーにすぎない」と指摘し、両者に戦闘をやめる意思はないと語った。その上で、略奪された武器が市場で売買され「スーダン中に広がっている」と説明。深刻な内戦に突入することを懸念した。 
〔写真説明〕14日、戦闘が続くハルツーム近郊から立ち上る黒煙(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)