【北京時事】中国全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は25日、秦剛国務委員兼外相(57)の外相職を解き、後任に外交トップで前外相の王毅共産党政治局員(69)を充てる人事を決定した。国営新華社通信が報じた。理由や秦氏の処遇については説明していないが、事実上の更迭とみられる。秦氏を巡っては、既に1カ月間動静不明で、さまざまな臆測を呼んでいた。
 秦氏は昨年末に外相に就任。習近平国家主席の信頼が厚いとされ、駐米大使からスピード出世を遂げた。わずか7カ月での外相交代は過去に例がなく、習政権の意思決定の不透明さと予測不可能性を改めて国際社会に印象付けることとなりそうだ。
 秦氏が最後に公の場に姿を見せたのは、6月25日のロシア外務次官らとの会談だ。中国外務省は今月11日、秦氏が「体調」を理由に東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の外相会議を欠席すると発表。同会議を含めた外相業務は、王氏が代理をこなしていた。
 中国外務省は秦氏の消息について「提供できる情報はない」(報道官)と説明を避け続けた。官製メディアは秦氏の問題を取り上げず、行方不明の理由について新型コロナウイルス感染や権力闘争、女性問題といった真偽不明の情報が拡散。外相の長期不在は外交日程にも影響し始めていた。 
〔写真説明〕中国の秦剛前外相=5月9日、ベルリン(EPA時事)
〔写真説明〕中国外交トップの王毅共産党政治局員=2月20日、ブダペスト(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)