自然の摂理でもある雨濡れのリスクをどう軽減する(イメージ:写真AC)

■あなどるなかれ、雨濡れリスク

山で経験する「雨濡れ」は、ハルトにとって永遠の課題と言ってよいものです。雨の中を山小屋にたどり着いた後、快適に一夜を過ごせるかどうかは、濡れた体を冷やすことなくいかに早く状況を改善できるかにかかっています。

濡れた体を素早く温めたいが(イメージ:写真AC)

山小屋に乾燥室があれば幸運で、手早く着替えを取り出して着替えられればベストですが、混雑する山小屋の中では意外とそれが叶わないこともあるでしょう。結局、生乾きの肌着やTシャツを着たまま、自分の体温で乾くことに望みを託しつつ、じっとりと冷たい不快な感触を味わいながら一晩を過ごす場合も少なくありません。

一方、体が冷えないうちに山小屋やテント場にたどり着けたのならまだしも、延々と何時間も風雨の登山道を歩き通すことになったら、それこそ命の危険に晒されます。ネットのアンケートでは「雨・水濡れが原因で低体温症、もしくはその兆候になったことがあるか」という質問に、12%が「経験あり」と答えています(ヤマケイオンライン「みんなの登山白書」より)。程度の差こそあれ、雨濡れで冷たく不快な経験をした人を含めると、ほとんど100パーセントの人が経験ありと答えるのではないでしょうか。

ハルトは考えました。山での雨濡れを何とかしなくては。そろそろ本格的なリスク対策に乗り出そうかと。その後、時間の合間に雨濡れの原因とその対策をいろいろ調べてみたのですが、今ひとつ決め手に欠けます。

■レインウェアに過度の期待は禁物

ハルトは思い切って、高校時代の同級生、村上くんに聞いてみることにしました。彼なら雨濡れ対策のヒントを持っているかもしれない。そう考えたからです。

ところが、「そりゃあ仕方ないことさ。自然の摂理だよ。山で雨に濡れるのを嫌がるなんて山男らしくないじゃないか」と、村上くんはあたり前のように答えます。ハルトは少しムッとした表情で反論します。「でもね、現に雨で体調を崩して熱を出したり、低体温症にかかって命取りになったりした人もいるんだぜ」

「わかった、わかった。まずは雨濡れ対策の定番、レインウェアのことから始めよう。最近はゴアテックス以外にも、いろいろなメーカーが透湿防水素材のレインジャケットを出している。前者は値段が高いけど、後者はリーズナブルなものが多いね。機能性? メーカーによってあまり差があるとは思えないな。お気に入りのレインウェアを入手できたとしても油断は禁物だ」

レインウェアは雨から守ってくれるが、汗が抜けないと内側が結露する(イメージ:写真AC)

村上くんは続けます。「レインウェアは雨や風からはしっかり守ってくれるんだけど、問題は内側だよね。どうしても登山では大量の汗をかくから内側から結露してしまう。フードや袖口の隙間をきっちり閉じてしまうとムレの思うツボだよ。かといって、通気性を優先すれば雨水が中に侵入しかねない。自然の摂理とか、メーカーによってあまり差がないと言ったのはそのことなんだ」