安全な登山を楽しみましょう!(イメージ:写真AC)

1年8カ月にわたって連載してきた「山を歩けばリスクにアタる」。主人公ハルトとその仲間たちが出くわすさまざまな場面から、リスクマネジメントのヒントをお伝えしてきました。彼らの物語も今回が最終回です。最後は、日ごろ筆者が実践している「山歩きの鉄則」で締めくくりたいと思います。

■体力維持について

「第23回:高尾山であわや遭難⁉」でも書いたように、山から1~2カ月も遠ざかっていると、心肺機能や脚力、気力がだんだんと衰えてしまい、まったくの初心者レベルの体に戻ってしまうことを筆者は何度も経験しています。

そこで、なるべく季節を問わず月に2回程度は近郊の低山で体を慣らすようにしていますが、毎月2回というノルマも確実に達成できるとは限りません。そのため山へ行けない週は4~5キロのジョギングで済ませます。

普段から基礎体力をつける(イメージ:写真AC)

ジョギングする際はなるべくアップダウンの多い道を選び、上り坂でもあまりスピードを落とさずに走るように心がけています。体に多少負荷をかけることにより、山に入っても息切れはしないし、心臓と肺と足がうまく連携してぐんぐんと推進力をつくり出してくれます。

■紙の登山地図と地図アプリ

たまに登山地図を持たずに山に来る人を見かけます。たとえ高尾山のような入門者向けの山であっても登山地図は必携です。観光パンフレットに毛の生えた程度のガイドブックもダメ。また、ある程度山慣れた人は一般登山道だけでは飽き足らず未知のルートを探索したくなるでしょう。地図上の破線ルートや地図にはないバリエーションルートのことです。

登山地図アプリを持つことは今や常識になっている(イメージ:写真AC)

こうしたルートを探索する際にGPSで位置情報を確認できる登山地図アプリを持つことは、今や常識中の常識です。一般登山道を歩く人も登山地図アプリがあれば二重に安心ですが、その代わり紙の地図を持参しないとか、持参してもまったく目を通さないといったことにならないよう気をつけてください。こうした登山地図アプリには登山計画を提出する機能もついているので、忘れずに提出しましょう。

■エネルギーの補給

事前の準備として、山に行く2日ぐらい前からは炭水化物を多く摂取します。エネルギー源としてのタンパク質(肉や魚)や糖分よりも、ごはんやうどんを多めに食べた方が山での体力は持続します。

登山中は腹の足しになるものを摂取(イメージ:写真AC)

それと、登山中はあまりカロリーの数字だけにとらわれずに、腹の足しになるものも摂るようにしています。トレイルランナーのように先を急ぐ人は高カロリーで消化吸収のよいinゼリーなどを持ちますが、筆者のような一般登山者は、ある程度食後の満足感が得られないと、しばしば脱力感にさいなまれることになるからです。