2024/01/26
令和6年能登半島地震
コンテナ企画・開発・製造や廃棄物処理を手掛けるピースノート(栃木県宇都宮市、河村公威社長)は、能登半島地震被災地の避難所向けに医療用コンテナ「モバイルクリニック」などの商品を提供した。
石川県庁の依頼にもとづき、今月22日までに「モバイルクリニック」1基と、処置用コンテナ「移動型災害支援BOX」1基を珠洲市立飯田小学校に設置。これらは「移動型診療所」として、災害派遣医療チーム(DMAT)による診察・処置、患者のバックアップ・一次隔離等のために利用される。
同社は、2011年の東日本大震災をきっかけに設立。廃棄物処理業を軸に、従来の3R(リサイクル、リデュース、リユース)に「リメイク」(作り直す)「リクリエイト」(再創造する)「リアース」(地球に返そう)などを加えた独自の「8R」を掲げ、循環型社会の実現を目指して事業展開している。
コンテナハウス事業では2020年4月、FOREMOSTとともに、コロナ禍で医療現場に役立つコンテナ商品の本格的な開発・製作に着手。同年7月に最初の「モバイルクリニック」を医療機関に寄贈し、10月にはFOREMOSTが「医療用コンテナ」として特許を取得している。
「モバイルクリニック」は、医療従事者の感染リスクを減らし、患者も安心して受診できることを目的に、感染症専門医の監修の元で設計。日本の建築基準法に合致した建築用コンテナに感染拡大防止の陰圧設備(GA陰圧システム)を内蔵し、台風などの悪天候にも耐え得る頑強さとモビリティを合わせ持つという。2022年の第8回「ジャパン・レジリエンス・アワード(強靱化大賞)」で「STOP 感染症大賞」の最優秀賞を受賞した。
今回の被災地支援では、同社社員が現地へ出向き、石川県、各自治体、内閣官房国土強靱化推進室等との連携で現地ヒアリング調査を実施。同時に、すでに「モバイルクリニック」を導入している医療機関にも協力を要請した。
その結果、神奈川県の「医療法人篠原湘南クリニック クローバーホスピタル」が導入していた20フィート型の「モバイルクリニック」1基の提供が可能となり、自社で保管していた20フィート型の処置用コンテナ「移動型災害支援BOX」(陰圧設備のないもの)1基と合わせ、診察用デスク・椅子・ベッド・パーテーション・点滴台とともに、それぞれ1月22日と20日に現地へ設置した。
ピースノートでは、今後も被災地支援の動きを「各所と連絡を取り合って進めていきたい」と述べている。
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