【ニューヨーク時事】米株式市場で人工知能(AI)が企業業績の脅威になるとの見方が台頭している。AIがソフトウエア設計や金融情報の分析など幅広い分野の仕事を奪う可能性が警戒され始めた。IT大手によるAIへの過剰投資懸念も強く、過去数年にわたり相場をけん引してきたAIが一転、足を引っ張る形となっている。
 ハイテク株中心のナスダック総合指数は昨年末から3%安。優良株で構成するダウ工業株30種平均は2%高とプラス圏にあるが、1月中旬から節目の5万ドル突破を前に足踏みしている。
 脅威論の背景にあるのが、AIモデルに指示文を入力するだけで、専門知識がなくてもソフトウエアなどを作るコードを生成できる「バイブコーディング」の登場だ。米AI新興アンソロピックが昨年11月に発表した「クロード」改良版の性能が評判となり、市場で従来の業務ソフトの需要が落ち込む恐れが指摘されるようになった。
 特に、インターネット経由でソフトウエアを提供するSaaS(サービス型ソフトウエア)企業の株が打撃を受けている。米セールスフォースの5日終値は昨年末比で28%安。日系証券関係者はSaaS株について、AIによる「中長期的な利益圧迫リスクを踏まえると割高だ」と話す。
 さらにアンソロピックは最近、データ分析や契約書の精査など専門的業務の自動化機能も提供し始めた。これを受け、法律や金融サービスの銘柄にも売りが波及。ソフトウエア企業に投融資している銀行や資産運用会社の株も売られている。
 ただ、市場の悲観は過剰だとの意見もある。米半導体大手エヌビディアのフアン最高経営責任者(CEO)は今週、ソフトウエア業界がAIに取って代わられるという懸念について「世界で最も非論理的な考えだ」と一蹴。「時がそれを証明してくれる」と冷静な判断を呼び掛けた。 
〔写真説明〕ニューヨーク証券取引所で画面に見入るトレーダー=1月23日、ニューヨーク(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)