厚生労働省は4月から、感染症の拡大や災害発生を想定した業務継続計画(BCP)を策定していない介護事業者について、サービスごとに定めている「基本報酬」を最大3%カットする。全事業所でBCPの策定と従業員への研修が同月から義務化されることを踏まえた。非常時でも介護サービスを途切れず提供できるよう、備えを促す。
 2021年度報酬改定では、新型コロナウイルスの流行や大規模災害の頻発を受けて、全ての事業者へのBCP策定義務が定められた。3年間の経過措置が今月末で終わり、今年4月から正式に義務となる。これに合わせ、24年度改定で未策定の事業者の報酬減算を決めた。
 感染症と災害どちらか一方でも未策定なら、特別養護老人ホーム(特養)などの施設・居住系サービスで3%、その他のサービスでは1%を基本報酬から減らす。既存の計画で感染症や災害に一部対応できる場合は、経過措置として25年3月31日まで減算しない。
 厚労省が昨年7~8月に1万事業者を対象に行った調査(有効回収率52%)によると、BCP未策定の事業所は感染症で15.5%、自然災害で17.0%に上る。職員が少ないほど策定が進んでおらず、自然災害の場合、職員50人以上の施設の策定率(策定中も含む)は90.2%だったのに対し、10人未満では78.3%だった。
 未策定の事業所に聞いたところ、最大の課題として、計画づくりの時間を確保できないことが挙げられた。 
〔写真説明〕能登半島地震で被災した、石川県珠洲市の特別養護老人ホーム「長寿園」=1月28日

(ニュース提供元:時事通信社)