政府は29日の閣議で、外国人労働者を中長期的に受け入れる「特定技能」制度の対象に、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野を追加し、計16分野とする方針を決定した。2024年度から5年間で受け入れる上限数は、19~23年度の2.4倍に当たる82万人に設定。今後、パブリックコメント(意見公募)を経て、早ければ5月にも関係する省令・告示を改正する。

 特定技能は深刻な人手不足に対応するため、2019年に始まった。一定の知識や経験が必要で就労期間が最長5年の「1号」と、熟練の技能が必要で就労期間が事実上無期限の「2号」がある。追加の4分野は1号で受け入れる。

 4分野のうち、自動車運送業はバス、タクシー、トラックの運転手が対象。バス、タクシーは2種免許の取得と新任運転者研修の修了を要件とする。日本で免許を取得する必要があるため、特定技能を付与する前に「特定活動」の資格で1年間の滞在を認める。

 自動車運送業では、2024年4月に残業時間の上限が規制され、物流が停滞する「2024年問題」を抱えている。外国人労働者の受け入れで、運転手不足の緩和につなげる狙いがある。 

 政府は、特定技能制度による受け入れが国内の雇用に悪影響を及ぼすことを防ぐため、分野別の受け入れ上限を5年単位で設定している。19年の制度導入時は34万5150人としたが、昨年末時点の在留者数は20万8462人にとどまった。

 林芳正官房長官は閣議に先立つ関係閣僚会議で「受け入れ見込み数の拡大に伴い、地域住民が不安を抱く恐れがある。外国人との共生社会実現に寄与することが受け入れ企業の責務だ」と述べた。(了)

(ニュース提供元:時事通信社 2024/03/29-11:00)

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