リスク部門から周知しガバナンスを効かせる

多くの人が入れ替わる新年度は情報セキュリティーのリスクも高まる(イメージ:写真AC)

 前項のSNSと関連するが、情報セキュリティーも、人の入れ替わりが多くなる新年度はリスクが高まる。やはり、コンプライアンス研修に組み込むなどして教育を徹底している企業は多いだろう。

現在は、新入社員でも学生時代からパソコンを使いこなしてきた人が多い。しかし当然、個人と会社では情報セキュリティーの重心が違う。また人事異動で新たに着任した社員も、業務が変われば情報資産との関わり方が変わり、以前と同じ意識でのぞめばよいとは限らない。情報セキュリティーのポリシーやルールは、この機に特に徹底したいところだ。

個人と組織のセキュリティー

次ページの表は、情報処理推進機構(IPA)が毎年発表している「情報セキュリティ10 大脅威」の2024 年版。個人の脅威と組織の脅威では一つとして同じものがないことがわかる。情報セキュリティーの重点は個人と組織でまったく違うということだ。仮にパソコンに精通している新入社員であっても、これまでと同じ意識、同じ使い方では組織としてのリスクに対応できない。

実際、組織の脅威で上位にある「サプライチェーンの弱点を悪用」「内部不正による情報漏えい」「標的型攻撃による機密情報の窃取」などは、個人の目線では想像できないだろう。新入社員にセキュリティー教育を行う際は、こうしたデータを使いながら、これまでの個人レベルのセキュリティーとの違いを比較説明するのも一つの手だ。

また、情報セキュリティーのポリシーやルールは、単に字面だけを伝えても浸透は難しい。この点は前項のSNSリスクと同じで、前提となるのは、やはり会社の一員であるという意識。「個人と組織では背負うリスクが違い、当然、行為に対する責任の重さも違う。新入社員にはそのことを真っ先に伝えるべき」と、セキュリティー管理に詳しいLogINラボ(東京都)の多田芳昭氏は話す。