著名人に成り済まして投資を呼び掛けるSNS広告への対策を議論する自民党のワーキングチームは24日、政府への提言をまとめた。米メタ(旧フェイスブック)などのSNS事業者が広告審査を厳格にするよう対応を求めたほか、著名人に無許可で広告掲載することを禁じる制度改正も要請した。来週にも岸田文雄首相らに申し入れ、政府が6月にも策定する対策に反映させたい考え。
 提言は、成り済まし広告で詐欺被害が急増し、画像に使われた著名人の信用を傷つけるなど悪影響が生じていると指摘。SNS事業者の対応は不十分で、「犯罪者がもうかるための環境を提供していると言っても過言ではない」と批判した。
 その上で、緊急対策として、政府がSNS事業者に対し、詐欺の手口を考慮して広告を事前に審査するよう要請。詐欺の連絡手段にされる例が多い「LINE」のような通信アプリにアクセスさせる広告を原則として認めないことも挙げた。
 24日に開いた会議の冒頭、座長の平井卓也元デジタル相は「消費者を大変な窮地に追い込むような広告を制限したい」と訴えた。検討チームはこれまで、無断で画像を使われた実業家の前沢友作氏ら著名人にヒアリングを実施。著名人からは迅速な規制強化を求める声が上がっていた。 
〔写真説明〕成り済まし広告対策に関する自民党のワーキングチームの会議で、あいさつする座長の平井卓也元デジタル相(左から2人目)=24日、東京都千代田区

(ニュース提供元:時事通信社)