食料安全保障の強化を盛り込んだ改正食料・農業・農村基本法が29日、参院本会議で可決、成立した。食料の安定確保や供給力の維持に向け、農産物の海外輸出、生産性や付加価値の向上を目指す方針を掲げた。同法は農業に関する国の基本姿勢を示す「農政の憲法」と言われ、1999年の制定以来、本格的な見直しは今回が初めて。
 ロシアによるウクライナ侵攻などで食のサプライチェーン(供給網)が揺らぐ中、基本理念に「食料安全保障の確保」を追加。「良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され、かつ、国民一人一人がこれを入手できる状態」を確保する方針を明記した。
 坂本哲志農林水産相は成立を受けて記者団の取材に応じ、「食料が国民一人ひとりに届くようなシステムをしっかりと作り上げることに全力を注ぎたい」と語った。
 人口減少で食料の需要低下が見込まれる中、供給能力を維持するため、農産物などの海外輸出を強化。安定的な輸入や備蓄も進める。また、国内農業の持続的な発展に向け、先端技術を活用したスマート農業を推進し、生産性や付加価値を高めることも打ち出した。 
〔写真説明〕参院本会議で改正食料・農業・農村基本法が可決、成立し、一礼する坂本哲志農林水産相=29日午後、国会内

(ニュース提供元:時事通信社)