2025/04/30
防災・危機管理ニュース
【ワシントン時事】トランプ米政権の関税政策を巡る米中対立は、高関税をかけ合う貿易戦争に発展した。米国による高関税に対し、中国は報復関税だけでなく、寡占状態となっているレアアース(希土類)などの輸出規制強化で対抗。米国は、戦闘機やミサイルなどの武器製造が滞り、安全保障に打撃となりかねないと焦りを募らせている。
「敵対的な海外勢力に鉱物生産を依存することで、安全保障が大きく脅かされている」。トランプ大統領は3月と4月、レアアースを含む重要鉱物確保に向けた二つの大統領令に署名した。軍需物資の調達を目的にした国防生産法を発動し、重要鉱物の採掘、加工を加速させるよう命令。調達状況や国内の生産能力などを調査し、サプライチェーン(供給網)の囲い込みも検討する構えだ。
レアアースは17種類の鉱物の総称で、電気自動車(EV)や半導体から軍需品まで、用途は幅広い。米国はレアアース輸入の7割を中国に頼っている。立て続けに発した大統領令は、中国依存への危機感を示している。
米中対立の激化は、こうした米国の弱みをあらわにした。中国は4日付で、7種類のレアアースの輸出規制を強化。米国の相互関税に対する報復措置とみられている。規制対象とした7種類は重希土類と呼ばれ、鉱物からレアアースを抽出、加工する精製を中国がほぼ独占している。
ロイター通信によると、これらの輸出は事実上、停止されており、2カ月以上続けば米国の民間備蓄は枯渇し始める恐れがあるという。
軍需品生産への影響は深刻だ。米国防総省によると、最新鋭のF35戦闘機には約400キログラム、原子力潜水艦には約4200キログラムのレアアースが使用されている。
米戦略国際問題研究所(CSIS)のグレースリン・バスカラン氏は「国防備蓄があるが、限りがある」と指摘。「(中国が独占している)精製の能力を構築するには数年にわたる努力が必要。今後3カ月で代替調達先を見つけることはできない」と話す。
トランプ氏は「中国の習近平国家主席とはとても良い関係だ」などと発言し、関税を巡る中国との協議に応じる姿勢を示す。しかし、中国側は「(米国が)誠意を示す必要がある」(商務省報道官)と強硬姿勢を崩していない。
CSISのスコット・ケネディ氏は、米中が交渉で合意することは可能としつつも、「双方が十分な(経済的、政治的な)痛みを感じるまでは難しいだろう」と予想した。
〔写真説明〕米海軍のF35戦闘機=19日、神奈川県綾瀬市
(ニュース提供元:時事通信社)

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