世界で最も大きなCO2排出要因とは(イメージ:写真AC)

■世界の紛争と気候変動

気候変動対策の中心課題は「いかにCO2を削減するか」であり、その矛先として火力発電所やガソリン自動車がターゲットとなっているわけだが、なぜか国際的な排出量削減目標から除外されている最も大きなCO2排出要因がある。それが「紛争(戦争)」だ。

紛争によって膨大な量の二酸化炭素が排出されている(イメージ:写真AC)

戦車や物資輸送車、戦闘機、武器などから排出されるCO2量、標的を攻撃して爆発炎上したときに排出されるCO2量、そして車による避難民の移動や破壊された街のインフラの復旧においても、計り知れないほどの膨大な量の二酸化炭素が排出されている。がしかし、紛争によるCO2は、可視化されないまま黙認されているのである。

紛争がごく稀にしか起こらないのであれば度外視してもよいのかもしれないが、テレビや新聞を見てのとおり、今の世界は紛争だらけだ。2022年12月17日付東京新聞のウクライナ問題関連の記事には、次のような衝撃的な数字が出ていた。

「侵攻が始まった今年二月から九月の間に、戦闘による弾薬や燃料使用で二酸化炭素(CO2)換算で八百八十六万トンが排出された。それに加えて建物や森林、畑の火災で二千三百七十六万トン、避難民の移動で百四十万トンなどとなっている。今後のインフラ再建に伴う排出四千八百六十七万トンを加えれば八千万トンを超え、二〇二〇年度の東京都の排出量(五千九百九十万トン)を上回る」

ウクライナをはじめ世界各地の紛争は今も続いているから、CO2の排出量はすでに1億トンをはるかに超えているはずだ。人類に課せられた脱炭素の努力とはいったい何なのだろうか。そんな疑問と虚しさを抱かずにはいられない。