規範によるナッジ
6月3日配信「リスク対策.com編集長が斬るニュース解説」より

大友 章司
北海道生まれ。名古屋大学大学院環境学研究科博士後期課程修了、博士(心理学)(名古屋大学)。専門はリスク心理学、応用心理学。災害時の避難行動や災害復興の心理プロセスに関する研究の他、消費者行動の心理学的研究なども行なっている。海外の学術誌などの論文多数。著書に『リスクガヴァナンスの社会心理学』など。名古屋市地域特性に応じた防災力向上検討委員会アドバイザー委員等を歴任。
2025/06/03
リスクに効く行動経済学
大友 章司
北海道生まれ。名古屋大学大学院環境学研究科博士後期課程修了、博士(心理学)(名古屋大学)。専門はリスク心理学、応用心理学。災害時の避難行動や災害復興の心理プロセスに関する研究の他、消費者行動の心理学的研究なども行なっている。海外の学術誌などの論文多数。著書に『リスクガヴァナンスの社会心理学』など。名古屋市地域特性に応じた防災力向上検討委員会アドバイザー委員等を歴任。
毎週火曜日、朝9時から30分間、PRO会員向けに生配信している「リスク対策.com編集長が斬る今週のニュース解説」。6月3日に配信した、関東学院大学准教授の大友章司氏による「リスクに効く行動経済学」では、規範によるナッジについて解説いただきました。
心理学において、規範とは、集団内で共有される行動や思考の基準、あるいは社会的な期待値を指します。人は他者の行動に方向づけられます。多くの人の取っている行動に同調する傾向があります。例えば、「ポイ捨て」について有名なフィールド実験があります。駐車上でビラを渡された人が、0~16枚のビラのポイ捨てが行われている場面で、どれくらいポイ捨てするかを測定したところ、ポイ捨てが多いほど、ポイ捨てをする人の割合が増えることが明らかになりました。だたし、1枚だけの場合は、割合は少なくなりました。つまり、1枚だけポイ捨てがある状況では、他にポイ捨てが行われていないことが顕著になるため、ポイ捨てが抑制されたと考えられます。
こうした傾向を防災分野に利用することも研究されています。大竹らが2020年に行った実験では、広島市民を対象に避難勧告場面を想定したナッジのコミュニケーションによる、行動選択の違いを検討しました。その結果、社会規範を喚起させるメッセージにより避難所避難を選択する人を増加させ、避難しない選択する人の割合を減少させました。
番組の内容は、アーカイブからご視聴いただけます!
→https://www.risktaisaku.com/category/news_commentary/
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