2025/06/01
防災・危機管理ニュース
職場での適切な熱中症対策を講じることが1日から企業に義務付けられる。夏場の猛暑が年々厳しさを増す中、熱中症で死亡する事例が後を絶たないためだ。屋外作業が多い建設や運輸、警備業界では、ファンの付いた「空調服」の導入拡大など熱中症への備えを進めている。
義務化は、温度や湿度を踏まえた「暑さ指数(WBGT)」28以上または気温31度以上の環境で連続1時間以上の作業などの条件に該当する職場が対象だ。熱中症の恐れがある人の早期発見・報告体制の整備や、応急処置などの手順作成を行い、関係者に周知するよう企業に求めた。怠れば6カ月以下の拘禁または50万円以下の罰金の対象になる。
企業は対策強化を急いでいる。大東建託は、外国人就労者でも分かりやすいピクトグラムを使った熱中症重篤化防止の啓発ポスターを作成。ヤマト運輸では、WBGT測定器約3000台を全国の事業所に配置する計画だ。セコムは、防弾・防刃ベストの上から重ね着できる空調ベストを特注した。
シャープは、暑さ対策商品として、シャーベット状の飲料を作れる冷蔵庫を開発。5月にレンタルを開始したところ、建設現場やメーカーの工場を中心に予想を超える引き合いがあるという。ロッテは手軽に塩分補給できる業務用の「塩タブレット」が好調。前年比5割増の生産を見込む。
職場の熱中症対策を所管する厚生労働省によると、2024年の職場での熱中症による死傷者数は1195人、うち死亡者は30人に上った。同省は「重症化を防ぐためにも早期の発見・対応が重要だ」と説明し、対策強化を呼び掛けている。
〔写真説明〕セコムが導入する防弾・防刃ベストの上から重ね着できるファン付きベスト=5月23日、東京都渋谷区
〔写真説明〕大東建託が作成したピクトグラムを使った熱中症重篤化防止啓発ポスター(同社提供)
(ニュース提供元:時事通信社)


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