2025/08/24
防災・危機管理ニュース
【シドニー時事】オーストラリア南部アデレードなどの沿岸海域で、赤潮の被害が深刻化している。400種以上の海洋生物が大量死し、漁業が打撃を受けた。気候変動でプランクトンが急増したとみられ、長期化が懸念されている。
南オーストラリア州当局によると、南半球の秋に当たる3月から、浜辺にサメなどの死骸が打ち上げられ始めた。その後、プランクトンの異常繁殖で赤潮が広がっていることが判明。冬の8月になっても収束せず、なお4000平方キロ以上の広範囲に及んでいる。
魚のほか、タコ、カニ、ホタテなどが大量に死に、漁獲量は激減。カキやムール貝の養殖は停止に追い込まれた。赤潮は2014年にも発生したが、漁業関係者は「今回は規模も期間もレベルが違う」と嘆いている。
人が赤潮に触れると、目や皮膚の炎症、せきといった健康被害を引き起こす。実際にサーフィンの後に不調を訴えた人がいた。州当局は「水が変色したり泡立ったりしている時は海に入らないで」と呼び掛けている。
州当局は赤潮の原因について、「23年の洪水で川から栄養豊富な水が海に流れ込み、24年の熱波で水温が約2.5度上昇したため」と推定している。赤潮で水中の酸素濃度が下がると、生物は窒息しやすくなる。
政府と州当局は合同で計2800万豪ドル(約27億円)を投じ、水質検査強化や、漁業・観光業などへの支援を進める。ワット環境・水資源相は絶滅危惧生物の調査実施を表明した。だが、赤潮を人工的に消すのは難しく、水温が上がる春以降の被害拡大が警戒されている。
〔写真説明〕赤潮に見舞われたオーストラリア南部アデレード沿岸で、浜辺に打ち上げられた魚の死骸=7月21日(EPA時事)
〔写真説明〕オーストラリア南部アデレードの浜辺で、赤潮に関する記者会見中、魚の死骸を見るワット環境・水資源相(左)ら=7月21日(EPA時事)
(ニュース提供元:時事通信社)


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