2025/09/11
防災・危機管理ニュース
造船分野での日米協力が決まり、注目が集まる日本の造船業。世界の新造船の5割を建造したかつての「造船王国」も、中国・韓国勢にその座を奪われて久しい。復活に向け、政府は今秋をめどに工程表を策定する方針だが、人手不足や脱炭素化など課題も多く、道は平たんではない。
日米両政府は4日(米国時間)、5500億ドル(約80兆円)の対米投資に関する覚書に署名した。対象分野の一つが造船。衰退した米国造船業の復活に日本が協力するというものだ。
「千載一遇のチャンスだ」。自民党海運・造船対策特別委員会の石田真敏委員長は日米協力を奇貨とみる。造船業が勢いを失っているのは日本も同じで、同党はこれに先立つ6月、「造船業が滅べば国も滅ぶ」と再生に向けた緊急提言をまとめ、今秋をめどに具体的な施策や官民の投資規模を盛り込んだ工程表を策定するよう政府に求めた。
国土交通省は8月、2026年度予算の概算要求で、船舶の製造工程自動化や船舶燃料の脱炭素化などに関し、新規予算や前年度を上回る額を求め、詳細が決まっていない日米協力分野については、額を明示しない「事項要求」とした。
日本は1950年代後半以降、新造船建造量で世界首位を維持してきたが、オイルショックやプラザ合意による円高が直撃。90年代以降は巨額の政府支援を受けた中韓勢が台頭し、日本のシェアは足元で10%強にとどまる。
三菱重工業など大手重工が相次ぎ事業を縮小し、ドックの多くも閉鎖された。造船業従事者の減少と高齢化も進み、かつての造船関係者からは「もうかるならやめていない。いまさらだ」と冷めた声も聞かれる。
一方、専業メーカーの鼻息は荒い。最大手の今治造船(愛媛県今治市)の檜垣幸人社長は、「政府がやっとこちらを見てくれた」と歓迎。「ロボットやAI(人工知能)を導入し、稼働率を上げる」と意欲を示す。6月には世界シェア拡大を狙い、業界2位のジャパンマリンユナイテッド(横浜市)を子会社化すると発表した。
デロイトトーマツグループの上杉利次マネージングディレクターは、「政府支援も前提に再興のシナリオを実行できれば、日本の造船業は一定の存在感を持って生き残れる可能性がある。この2、3年が潮目が変わる分岐点だ」と話している。
〔写真説明〕今治造船の丸亀事業本部=2023年1月、香川県丸亀市
(ニュース提供元:時事通信社)

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