2025/10/23
防災・危機管理ニュース
高病原性鳥インフルエンザが今季初めて養鶏場で発生し、関係者は警戒を強めている。卵の卸値は既に過去最高値に迫っており、感染が拡大すれば供給量は減り、価格が一段と上昇しかねない。
「ついに今年も来たか」。北海道白老町で感染が確認された22日、大手スーパーの関係者はため息をついた。JA全農たまごが発表している鶏卵1キロ当たりの卸値は、22日時点の基準値(Mサイズ、東京地区)が325円。昨シーズンの鳥インフル流行で高騰した影響が続き、2023年春に記録した最高値350円に近づいている。
22年秋から23年春のシーズンは鳥インフルが大流行。採卵鶏の殺処分数は過去最多の約1654万羽に上り、品不足と価格の急上昇を招いて「エッグショック」と呼ばれた。昨シーズンも年明けに鳥インフルの発生が急増した上に飼料価格の高騰なども重なり、今年1月下旬以降、卵の卸値は1キロ300円を超える水準で推移してきた。
日本養鶏協会は先月末、鶏卵の需給見通しを公表。鳥インフルの流行状況を考慮しなければ、昨シーズンに殺処分された分に代わる採卵鶏が育ち、年明け以降は生産量が回復すると見込んでいた。
エッグショックの引き金となった22~23年シーズンの鳥インフルは、初の感染確認が10月28日で、卸値はその後の約5カ月で100円程度値上がりした。今季はそれよりも約1週間早く、2年前と同様の大規模感染が起きれば最高値を更新する可能性もあり、政府はまん延防止に全力を挙げる方針だ。
(ニュース提供元:時事通信社)
- keyword
- 鳥インフルエンザ
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
企業存続のための経済安全保障
世界情勢の変動や地政学リスクの上昇を受け、企業の経済安全保障への関心が急速に高まっている。グローバルな環境での競争優位性を確保するため、重要技術やサプライチェーンの管理が企業存続の鍵となる。各社でリスクマネジメント強化や体制整備が進むが、取り組みは緒に就いたばかり。日本企業はどのように経済安全保障にアプローチすればいいのか。日本企業で初めて、三菱電機に設置された専門部署である経済安全保障統括室の室長を経験し、現在は、電通総研経済安全保障研究センターで副センター長を務める伊藤隆氏に聞いた。
2025/11/17
-
-
-
-
-
社長直轄のリスクマネジメント推進室を設置リスクオーナー制の導入で責任を明確化
阪急阪神ホールディングス(大阪府大阪市、嶋田泰夫代表取締役社長)は2024年4月1日、リスクマネジメント推進室を設置した。関西を中心に都市交通、不動産、エンタテインメント、情報・通信、旅行、国際輸送の6つのコア事業を展開する同社のグループ企業は100社以上。コーポレートガバナンス強化の流れを受け、責任を持ってステークホルダーに応えるため、グループ横断的なリスクマネジメントを目指している。
2025/11/13
-
リスクマネジメント体制の再構築で企業価値向上経営戦略との一体化を図る
企業を取り巻くリスクが多様化する中、企業価値を守るだけではなく、高められるリスクマネジメントが求められている。ニッスイ(東京都港区、田中輝代表取締役社長執行役員)は従来の枠組みを刷新し、リスクマネジメントと経営戦略を一体化。リスクを成長の機会としてもとらえ、社会や環境の変化に備えている。
2025/11/12
-
入国審査で10時間の取り調べスマホは丸裸で不審な動き
ロシアのウクライナ侵略開始から間もなく4年。ウクライナはなんとか持ちこたえてはいるが、ロシアの占領地域はじわじわ拡大している。EUや米国、日本は制裁の追加を続けるが停戦の可能性は皆無。プーチン大統領の心境が様変わりする兆候は見られない。ロシアを中心とする旧ソ連諸国の経済と政治情勢を専門とする北海道大学教授の服部倫卓氏は、9月に現地視察のため開戦後はじめてロシアを訪れた。そして6年ぶりのロシアで想定外の取り調べを受けた。長時間に及んだ入国審査とロシア国内の様子について聞いた。
2025/11/11
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/11/11
-






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方