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「カモ型」BCPから「タラ型」BCPへの転換を考えるシリーズの第2回。前回の『お荷物化するBCP「カモ型」から「タラ型」に発想転換を』からの続きです。中堅メーカーの総務部で危機管理を担当するAさんはBCPについて悩んでいます。理由はBCPが危機ごとに乱立し、現場からはお荷物扱いされているからです。Aさんは、従来と異なるBCPを求めています。

■対策:「タラ型BCP」への3ステップ

前回解説したように、BCPには「何が起きるか」という脅威を起点とするカモ型BCPと、我々の考えである「問題が起きたらどう対応するか」という視点からアプローチするタラ型BCPがあり、カモ型からタラ型への転換を提案しています。今回は、実際に「タラ型BCP」の作成に向けてステップごとに進めていきます。

「タラ型BCP」を策定するためには、3つのステップがあります。ステップ①は「カモ(What if)」=脅威と社会的影響の洗い出し、ステップ②は「タラ(What when)」=自社業務への具体的影響の検討、ステップ③はBCPの策定になります。進行の流れは以下になります。

<ステップ①>「カモ(What if)」=脅威と社会的影響の洗い出し
・自然災害や人為災害などの脅威を網羅的にリストアップ。
・それらが社会に与える影響(停電、交通遮断など)を整理。

<ステップ②>「タラ(What when)」=自社業務への具体的影響の検討
・社会的影響が自社業務に与える影響を部門別に具体化。
・脅威そのものではなく、社会的影響が業務にどう波及するかに着目。

<ステップ③>BCPの策定
・業務継続の方針(休止・縮退・継続)を決定。
・被害を避ける方法ではなく、自社の影響に対処する対応策を検討。
・実行可能性を検証し、課題があれば解決策と担当者・期日を設定。

今回はステップ①と②を説明します。ステップ①は「実行可能な対応策に集中する」ための”地ならし”、ステップ②は”土台作り”に該当します。脅威や社会的影響に振り回されず、自社の業務に焦点を当てるために必要な準備です。