一般社団法人防災教育普及協会は1月22日、東京都千代田区の大手町サンケイプラザで「第8回防災教育特別セミナー 巨大災害に備える~巨大地震、広域火災から生命と事業を守るために~」を開催した。首都直下地震とそれに伴う地震火災を主題に、学識者や政策立案に関わる有識者が最新の被害想定と備えの在り方を解説した。

首都直下地震の切迫性と揺れの特徴

基調講演では、協会会長で東京大学名誉教授の平田直氏が、首都直下地震の発生メカニズムや確率評価、過去の大地震との比較について説明した。地震はプレート運動に起因する断層破壊によって生じ、M7.9以上の大地震は近年100年間、海域で7回発生していることや、M6以上になると内陸でも相当な回数発生していることを具体的なデータに基づき紹介した。また東京都でも、震度5強以上の強い揺れを観測した地震は1923年の関東地震以降4回発生しており、必ず大きな地震は起きることを強調。こうした都市部では、曝露人口が極めて多いことが災害規模を拡大させる要因になると指摘した。

都市火災の脅威と対策

続く講演では、協会理事で東京大学先端科学技術研究センター教授の廣井悠氏が地震火災に焦点を当てた。大都市は人口や建物が高密度で、ライフライン依存度も高く、火災が発生すれば被害が連鎖的に拡大しやすい構造にあると説明した。廣井氏は、糸魚川市の大規模火災や能登半島地震での市街地延焼事例を挙げ、風向きや道路幅、空地の有無が被害規模を左右したことを紹介。火災の想定は極めて難しく、首都直下地震でも条件によって被災状況がまったく異なる可能性があると警鐘を鳴らした。

対策として、出火防止策、延焼防止対策、消火対策、避難対策の4つが重要として、特に出火防止策としては、感震ブレーカーを広めていくことが重要であることについても解説した。

巨大災害への備えを巡る討論

パネルディスカッションでは「巨大災害に備える~巨大地震、広域火災から生命と事業を守るために~」をテーマに意見が交わされた。冒頭、内閣府首都直下地震対策検討ワーキンググループ主査を務めた増田寛也氏が、国の被害想定の概要を説明し、その後は進行役の下、長周期地震動による高層建築の被害や都市部で想定される火災の広がりについて、平田氏と廣井氏が見解を示した。

企業の備えについては、増田氏が岩手県知事時代や日本郵政社長時代に実施した訓練事例を振り返り、全社的な参加と実践的なシナリオ設定の重要性を強調した。

セミナーには、企業の防災担当者や学校教育関係者、地域で防災活動に取り組む市民らが参加。パネルディスカッションでは、事業継続力を高める方法や本格的な訓練の進め方に関する質問が相次ぎ、参加者の関心の高さがうかがえた。