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前回のコラム第12回-海外子会社経営リスク管理編(8)では、本社に報告された内容の信ぴょう性を現地に赴きチェックする「現地往査」の概要と内部けん制について述べました。今回は海外子会社の「現地往査」すなわち、現地に赴く「内部監査」の方法について、中国子会社を念頭に詳しく見ていきます。

1.内部監査の目的

内部監査の目的は、現地海外子会社のビジネスリスクの発見のみではありません。その最終的な目的は「監査を通じ、発見された事実を直視し、その後の対応を明確にすることで安心感を関係者で共有し、その共有を通じ、不正などの犯人捜しではなく、企業の健全な成長を関係者でともに目指していく事」にあります。その目的のための内部監査は、以下の4つのステップを踏み、着実に取り組む必要があります。

2.内部監査のステップ

(1)内部監査のステップ

内部監査は通常以下で述べる4つのステップで行われます。

ステップ 実施内容 目的
第一ステップ
監査チームの結成まで
①監査目的・方針の決定・範囲 ②監査責任者決定及び監査チームの結成(含む外部専門家)・組織化 監査目的・方針・範囲の決定と組織化(リーダーとメンバーの決定)
第二ステップ
ビジネスリスクの日本での事前想定と内部監査準備まで
①内部統制資料(財務、CSA、KRI)の入手済みデータから大よそのビジネスリスクを特定 ②現地からの事前資料の追加と確認 ③重点リスクの特定 (リスクアプローチ) ④監査方法の事前準備 監査対象の重点リスクの目安を立て、監査目的に合った監査方法の検討を日本で事前に準備する
第三ステップ
日本での事前想定の修正と現地監査によるビジネスリスクの特定・発見・原因分析  
①事前準備で想定したビジネスリスクの調整・修正 ②現地内部監査の実施 ・会計監査手法 ・アンケート手法 ・ヒアリング手法 現地監査による経営リスクの特定
最終step 発見された事実の共有 企業の健全な成長を関係者で目指していくための計画策定と実行(PDCA)

 

以下ステップごとに詳しく説明をしていきます。

(2)第一ステップ

第一ステップでは、監査目的・方針・範囲の決定と組織化(リーダーとメンバーの決定)がなされます。

①内部監査目的・方針の決定

現地で内部監査を行う目的には、様々あります。定期監査の一環で行う場合、何か問題が見つかり、その原因特定を目的とする場合、また、コラム10~12回で述べた牽制の手法で見つかったリスク要因の洗い出し、などです。それぞれ、監査する内容、手法は異なりますので、まずは、内部監査目的の明確化と監査方針を決める必要があります。

②内部監査範囲の決定

①で監査目的・方針を明確にした後に、内部監査範囲の決定を行います。代表的な監査項目としては、以下のようなものが通常の内部監査の範囲になります。