海運の産別労働組合、全日本海員組合の田中伸一組合長代行は15日までに、時事通信の取材に応じた。ペルシャ湾内に取り残されている日本関係船舶の乗組員について、「現状、湾外に出られる見込みがなく、米国とイランの協議を耐えて見守っている」と苦境を語った。その上で、政府や海運会社に対し、封鎖状態にあるホルムズ海峡の通航や下船に際しては、船員の安全を最優先とするよう訴えた。
 現在、湾内には外国人を含めて組合所属の乗組員1000人超がとどまっている。田中氏によると、ネット接続は可能で、家族と連絡を取ったり、中東情勢の報道に接したりできている。ただ、「ペルシャ湾に安全な場所はない。いつまで続くのか、状況が悪化したとき避難できるかが船員の最大の関心事だ」と強調した。
 また、水や食料、燃料に関し、「『ある』と言われて港に行っても係船の許可が下りないこともある。苦労しながら補給している」と窮状を語った。慢性疾患を持つ船員の常備薬不足も懸念の一つという。通常なら航路は片道20日程度だが、すでにその期間を過ぎている。
 米イランの再協議も取り沙汰されるが、同海峡の通過見通しは依然不透明だ。下船が望ましい一方、原油など危険物を積む船舶も多く、「船体や積み荷をむげにできないのも理解している」と指摘。船員には「日本のエネルギー輸送に従事する自負もある」という。
 政府によると、湾内の日本関係船舶は現在、42隻。海員組合は乗組員数について、3月18日時点で日本の海運会社の所有船舶も含めると59隻に1430人(外国人船員を含む)と説明していた。 
〔写真説明〕田中伸一 全日本海員組合組合長代行(同組合提供)

(ニュース提供元:時事通信社)