AIが「やらせ」に使われるリスク
第45回:IT後進国から脱却できるのか(5)
多田 芳昭
一部上場企業でセキュリティー事業に従事、システム開発子会社代表、データ運用工場長職、セキュリティー管理本部長職、関連製造系調達部門長職を歴任し、2020年にLogINラボを設立しコンサル事業活動中。領域はDX、セキュリティー管理、個人情報管理、危機管理、バックオフィス運用管理、資材・設備調達改革、人材育成など広範囲。バイアスを排除した情報分析、戦略策定支援、人材開発支援が強み。
2023/08/09
再考・日本の危機管理-いま何が課題か
多田 芳昭
一部上場企業でセキュリティー事業に従事、システム開発子会社代表、データ運用工場長職、セキュリティー管理本部長職、関連製造系調達部門長職を歴任し、2020年にLogINラボを設立しコンサル事業活動中。領域はDX、セキュリティー管理、個人情報管理、危機管理、バックオフィス運用管理、資材・設備調達改革、人材育成など広範囲。バイアスを排除した情報分析、戦略策定支援、人材開発支援が強み。
前回、AIと人間をハイブリッドする事例を紹介し、利活用の可能性について言及した。しかし、人間が関与するハイブリッドとなると、悪意を持てば都合のよい方向性の回答を出力することも可能だといえる。まさに諸刃の剣、その実態を見極めないと本当の意味での利活用は覚束ないだろう。
今回は、悪用とも思えるAI活用の事例を確認してみる。ただし、この種の事例は取材による裏取りは相当困難であり、真相は闇の中になりがちなため、筆者の類推によるところが大きいことをあらかじめお断りしておく。それでも事実関係をもとに、論理的整合性を重要視し、可能な限り可能性を広くみているつもりなので、ご容赦願いたい。
したがって、筆者が認識していない反証となる事実がもしあるならば、それはぜひご指摘いただきたい。そうすることで検証がさらに深くなり、AIを便利で安全な道具として効果的に利活用できると信じているからだ。
前置きが長くなったが、本題に戻り、筆者が考えるAIと語るには相応しくない事例、適切とは思えない事例をあげたい。その代表格がTVのワイドショーで語る、AIニュースの類である。
いくつかのワイドショーで、ニュースのトレンドを示す目的で、AIが客観的に選んだかのようにいくつかのバズワード、ネット検索情報のランキングなどを示している。しかし、そこに出力されている情報がすでに偏っていると言わざるを得ない。
直近でいうと、いわゆる文春砲が炸裂している「木原事件」だ。この関連ワードは、ランキングでほとんど表示されていない。最悪の場合、政治権力が警察権力に介入するという法治国家としての根底を揺るがす一大疑獄にも発展しかねない内容であるにもかかわらず、だ。
少し前にワイドショーで騒ぎ立てた「政治権力による報道への圧力」と比較しても、本質的に問題性は大きい。なぜなら、ドラマのように政治権力が警察権力に介入できて殺人事件をもみ消せるのならば、それは独裁であり、法よりも上位概念に政治権力が君臨する、なんでもやりたい放題となってしまうからだ。
しかし、報道への介入は騒ぎ立て、警察権力への介入はほとんど触れない。これがもし安倍元総理であったら、昭恵夫人の過去にまつわることだったら、メディアは大騒ぎしているのではないだろうかと想像してしまう。
いや、百歩譲って、触れないのは報道としての価値判断が働き、報道しない自由を発揮した結果だという説明も成立する。しかし、AIによるトレンド分析にそのような忖度が働くとは考えられない。報道しない自由があったとしても、トレンドや巷の関心、ニュース性があることは疑いようがないのだから。
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