【ワシントン時事】米イスラエルとイランの紛争に伴うエネルギー価格上昇が米国の家計を圧迫している。商務省が4月30日に発表した重要指標は、インフレの急加速と個人消費の減速を浮き彫りにした。米経済は底堅さを保っているものの、紛争が長引けば景気が冷え込むのは必至。国内総生産(GDP)の7割を占める個人消費の動向は、今秋に中間選挙を控えるトランプ政権の先行きも左右しかねない。
 連邦準備制度理事会(FRB)が重視する物価統計、個人消費支出(PCE)物価指数の3月の伸び率は前年同月比3.5%と、前月(2.8%)から大幅に上昇した。紛争が始まった2月末からインフレ圧力が強まった形で、2023年5月以来の高水準を付けた。
 背景には、世界の原油輸送の要衝ホルムズ海峡封鎖に伴うエネルギーショックがある。供給停滞への懸念から米原油先物相場は1バレル=100ドル超で高止まり。パウエルFRB議長は「エネルギー価格はまだピークに達していない」と身構える。金融大手バンク・オブ・アメリカは、年末まで90ドル近辺が続くと分析している。
 車社会・米国の生命線であるガソリンの価格も跳ね上がった。全米自動車協会(AAA)によると、ガソリン価格は1ガロン(約3.8リットル)当たり4.3ドル(約680円)と、紛争開始直前と比べて4割強上昇した。ガソリン高は心理的な負担が重く、旅行などの手控えにつながる。
 米経済の屋台骨である個人消費にはやや陰りもみられる。1~3月期の実質GDP速報値は、季節調整済み年率換算で前期比2.0%増と、伸びは前期(0.5%増)から急加速。人工知能(AI)向けを中心に設備投資が全体をけん引した一方、個人消費は1.6%増と前期(1.9%増)から鈍化した。
 ガソリンや光熱費の価格上昇は家計の購買力を押し下げ、衣類や外食など「必需品以外の消費が制約される」(エコノミスト)可能性が高い。市場では、エネルギー高の影響は4~6月期に本格化するとの見方が広がる。中間選挙を控えたトランプ大統領に対する逆風は、一段と強まりかねない。 
〔写真説明〕米南部テキサス州のガソリンスタンド=4月29日、ヒューストン(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)