麻痺しがちなリスク感覚に立ち向かう術
第22回:「BeReal」で相次いだ情報流出から考える
吉野 ヒロ子
1970年広島市生まれ。博士(社会情報学)。帝京大学文学部社会学科准教授・内外切抜通信社特別研究員。炎上・危機管理広報の専門家としてNHK「逆転人生」に出演し、企業や一般市民を対象とした講演やビジネス誌等への寄稿も行っている。著書『炎上する社会』(弘文堂・2021年)で第16回日本広報学会賞「教育・実践貢献賞」受賞。
2026/06/08
共感社会と企業リスク
吉野 ヒロ子
1970年広島市生まれ。博士(社会情報学)。帝京大学文学部社会学科准教授・内外切抜通信社特別研究員。炎上・危機管理広報の専門家としてNHK「逆転人生」に出演し、企業や一般市民を対象とした講演やビジネス誌等への寄稿も行っている。著書『炎上する社会』(弘文堂・2021年)で第16回日本広報学会賞「教育・実践貢献賞」受賞。
2026年4月、西日本シティ銀行の支店内で撮影され、SNS「BeReal」に投稿された画像がXで話題となり、騒動へと発展しました。
その後、相次いで似たような画像が暴露系インフルエンサーなどに取り上げられ、NHKの調べでは、4月以降、5月12日までに40件もの情報流出が話題となっていたそうです。
参考:BeRealで情報流出40件に 専門家「あせらされる仕組み」(https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015119501000)
BeRealの仕組みは、従来のInstagramなどのSNSとは一線を画しています。1日に1回、ランダムな時間に通知が届き、ユーザーは2分以内に「今、目の前にある景色(アウトカメラ)」と「自分の姿(インカメラ)」を同時に撮影して投稿しなければなりません。加工やフィルター、過去の写真のアップロードは許されず、文字通り「飾らないリアルな日常」を切り取るのが特徴です。後から投稿することもできるのですが、自分が投稿しないと閲覧することはできませんし、通知に対してすぐ投稿しないと、追加の撮影ができなくなります。
この「偶発性」と「同時撮影」というシステムこそが、今回の騒動の背景にあります。BeRealに慣れ親しんだユーザーが通知を受け取ると、オフィスなどでもつい撮影してしまう。2分以内に投稿という縛りがありますから、マズいものが映り込んでいるかどうか、十分確認しないまま投稿してしまう、というわけです。
西日本シティ銀行の場合は、ホワイトボードに書かれた支店内の目標や、個人8名、法人19社の顧客情報が問題となり、5月12日に同銀行の頭取が記者会見で謝罪することになってしまいました。
若い人の間で、BeRealはどのくらい使われているのでしょうか。2026年5月中旬に、帝京大学八王子キャンパスに通う学生を対象とした調査(n=382)では、(各種ソーシャルメディアの中で、BeRealを)「もっとも使っている」と答えた人が14.7%、(同)「それなりに使っている」21.2%、(同)「あまり使っていない」18.9%、(同)「使ったことがない」45.3%でした。LINEのように普及しているわけではないけれど、熱心に使っている学生はたくさんいる、という状態のようです。
では、大学生はどのようにBeRealを見ているのでしょうか。「広報論」の講義で、西日本シティ銀行の事例を軽く説明し、この連載で取り上げるかもしれないと予告した上で、学生にコメントを書いてもらいました。
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