栃木県鹿沼市の東武日光線新鹿沼駅で8月、除草作業中の作業員4人が特急列車と衝突し死亡した事故で、東武鉄道は30日、社内規定に違反し、現場責任者が見張り員の位置や待避場所を事前に指示していなかったとの中間報告を明らかにした。報告書は同日付で国土交通省関東運輸局に提出した。
 東武鉄道によると、同社の社内規定では、元請けの「東武建設」(同県日光市)の作業指揮者が現場責任者として、見張り員の位置や作業員の待避位置などを指示するよう決められていた。
 ただ中間報告によると、この作業指揮者は線路を移動しながらの作業経験がなかったため、非番だったが現場にいた東武建設の上司の「現場代理人」に実質的な指示をゆだね、記録用の写真撮影をしていた。この上司は、見張り員の位置などに関して打ち合わせはせず、具体的な指示をしなかったという。当日上司が現場に来ることを東武建設や現場の作業員らは把握しておらず、工事の安全を確認する表にも名前の記載がなかった。
 事故は8月20日午前10時45分ごろに発生。作業には計10人が携わり、東武建設の作業指揮者を含め7人が除草作業に従事していた。見張り態勢は、現場近くに列車見張り員1人、約300メートル離れた踏切手前に中継員2人が配置に就くことになっていた。
 中間報告によると、事故発生の約5分前、作業員らは上りホーム下の事故現場付近に進んだ。列車見張り員は、列車が来るまでの時間が短いため疑問に思ったが「意見を述べると怒られる」と思ったため、言わなかったという。
 事故発生時、中継見張り員は、反対側の下りホームの踏切で待機していた。見張り位置に就くための指示を待っていたが、指示がなく作業が始まっていたとみられる。
 その後列車の到着時刻が近づき、中継見張り員は踏切が下がっていることを無線機で列車見張り員に連絡。列車見張り員も目視で確認し、作業員に警告音などで知らせた。作業指揮者は合図が聞こえなかったが、列車の接近に気付き、いずれも待避した。一方、上司ら4人はホームに背を向けたままその場にとどまり、列車と接触した。 
〔写真説明〕栃木県鹿沼市の東武日光線新鹿沼駅構内で起きた4人死亡事故を説明し、頭を下げる東武鉄道の(手前から)亀山昇司運輸部長、佐藤晃一施設部長=30日午後、国土交通省

(ニュース提供元:時事通信社)